試験方法
AFP-FSK Transceiverの前に組み立てた13TR-FT8(ディスクリート・アナログ・FT8トランシーバ)を活用した試験方法を思いつきました。13TR-FT8からダミーロードに送信して、近接場から漏洩した電磁波をAFP-FSK Transceiverで受信します。都市ノイズやPCノイズの海の中になりますが、自由にAUDIO周波数を設定できるため、ノイズとの切り分けも容易と予想しました。
試験システムの系統図と試験機材の写真を下記に示します。近接場の漏洩電磁波を捉えるためにSDRplayのアクティブ・ミニホイップ・アンテナはダミーロードの近くに置き、必要に応じてBias-Tをアクティブにしました。AFP-FSK Transceiverのモービル・ホイップもエレメントが近くに来るように室内の床に置きました。アンテナから送信はしないため、SWRは気にしないことにします。13TR-FT8はLOのトリマ再調査が必要になり、ケースから出す必要がありました。漏洩電磁波がどこからでも回り込みそうな系ではあります。
送信機13TR-FT8の周波数校正
まず、SDRplayを原器として、13TR-FT8の周波数を再校正しました。
校正前
両トランシーバの電源を投入すると、各々のLO(Local Oscillator)の信号が見えました。
AFP-FSK TransceiverのLO信号は、外部発振器をTCXOとしたMS5351Mの受信Clock信号です。一方、13TR-FT8のLO信号は、ノーマルXOによるコルピッツ発振回路の出力です。ディスクリートSBMの入力とするためか、13TR-FT8のLO信号の強度の方が高いようでした。もっとも、単にSDRplayのMini-Whip Antennaとの距離が影響しているだけかもしれません。
校正後
前回、13TR-FT8のLOも7,074,004Hzまで追い込んだはずですが、経時変化かあるいは暖機運転が足りないのか、約-40Hz程ずれているようです。これを±10Hz以内に再調整しました。
13TR-FT8送信とAFP-FSK Transceiver受信
2.5kHz AUDIO信号
WaveGenから2.5kHzのAUDIO信号を13TR-FT8に入力しました。13TR-FT8がダミーロードに送信した電力の漏洩電磁波をSDRplayで受信した結果を下記に示します。7,076.5(=7,074+2.5)kHzになる予定でしたが、約-2.5Hz程低くなりました。
この時、AFP-FSK Transceiverが受信したWSJT-Xのワイドグラフを下記に示します。WSJT-Xは近接場の漏洩電磁波も捉えてくれました。目視ですが、約2.47kHzを受信しており、SDRplayの受信結果と一致します。約-2.5Hzは13TR-FT8のLOの校正誤差と思われます。
2.3kHz AUDIO信号(-200Hzシフト)
次に、AUDIO周波数に対して2.5kHzから2.3kHzへの-200Hzの周波数シフトを行いました。7,076.3(=7,074+2.3)kHzになる予定でしたが、同様に約-2.5Hz程低くなりました。LO校正誤差を維持したまま、正確に周波数シフトした模様です。
AFP-FSK Transceiverが受信したWSJT-Xのワイドグラフでも同じ結果を確認できました。AFP-FSK Transceiverの受信部が正常に稼働していることを確認できました。
AFP-FSK Transceiverによる交信受信試験
そのままAFP-FSK Transceiverを放置し、WSJT-Xの継続受信を行いました。室内床置き仮設のモービル・ホイップでは出力の大きい局やローカル局の電波しか捉えられないのですが、待っていると数局の電波を拾えました。ただし、DX(7.074MHz)も国内(7.041MHz)も交信相手局の電波は捉えられませんでした。
DXにも国内にも両方に対応できるのがVFO Moduleを搭載したAFP-FSK Transceiverの利点です。受信用のVFO機能も正常に動作していることが確認できました。