非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

RS-HFIQ(9)初荷 IQ Keyer

迎春

2023年元旦も雲一つない快晴で富士山が良く見えていました。

Mt. Fuji under clear skies on New Year's Day.

1年前の元旦を振り返ると、13TR-FT8トランシーバ の組立が完了し、保証願書を作成していた頃でした。これとAFP-FSK Transceiver Kitを通して、2022年はFT8の学びが進んだ年でした。
(とは言っても、FT8プロトコルの詳細については積み残しが残っています。新たな学習マテリアルの目星が付いたため、時期を見て再開したいと思います。)
jk1ejp.hatenablog.com

今年はダイレクトコンバージョン方式の送受信SDR(CW、FT8)の学びを完遂することが当面の目標です。非職業的活動(趣味)であることから、目標期日の設定が無いことが良いところです。

初荷

品物

HobbyPCB社のIQ Keyer(Kit)が届きました。SDRのCW送信用のIQオーディオ信号を生成するKeyerです。現在検討中のQuisk SDRおよびTeensy Keith's SDRにおけるCW送信方式のプランBとして購入しました。

Packaging.
Half-finished kit of the contents of the box.

部品はコネクタも含めてPCBにはんだ付けされていました。必要な残作業はAruduino Nanoのはんだ付けとケース組み立てぐらいのようです。ケースパネルとの寸法関係で、Aruduino NanoはPCBへの直付けが必要なようです。
PCBの手前のスペースが大きく空いており、メッセージメモリのボタンを追加できるようです。ケース(カナダ製でした)を決めてから、PCBを設計した結果かもしれません。

輸送実績

HobbyPCB社のホームページは、晩秋になっても長い夏季休暇による不在を表示していましたが、注文は受け付けているようでした。その後、夏季休暇の表示は消えましたが、バックオーダの処理に時間がかかっていたようです。12月下旬になって発送メールが届きました。
郵送オプションは不安がよぎるUSPS一択だったため、郵送グレードを上げて注文しました。やはり米国内輸送は3rdパーティのGlobalPostが担っていたようです。今回は住所の打ち間違いもなく、日本郵政からの注意付箋もありませんでした。「Kanagawa-Ken」が「Kanagawa-K」に短縮された軽微な変更しかありませんでした。住所印字システムが変わったのか、オペレータが習熟したのか、グレードによる輸送品質向上のためか、理由は不明です。

Transportation Results.

輸送経路を追跡すると、NEW YORKからATLANTAまでの北米航空輸送で6日を費やしていることが分かりました。大寒波到来で飛行機が飛んでいなかったのかもしれません。

動作原理

Quisk等のPC SDRとRS-HFIQの間に挿入するIQ Keyerの結線を下図に示します。

IQ Keyer operating principle.

Quiskから出力される送信IQオーディオ信号が、サウンドカードのHeadhoneジャックからRS-HFIQのIQ-IN TXジャックに結線されています(赤線)。IQ Keyerはこの結線の途中に挿入します。通常は、IQ Keyerは送信IQオーディオ信号をバイパスしているだけです。
キー入力があると、IQ Keyerはトーン周波数のIQオーディオ信号を生成して内部の絶縁トランス1次側に入力し、RS-HFIQへの送信IQオーディオ信号を絶縁トランス2次側出力にリレーで切り換えます。
同時に、PTT信号(CW OUT)も生成して、RS-HFIQのKEYジャックにつなげることで、RS-HFIQを送信状態に切り換えます。RS-HFIQのKEYジャックをKeyer入力として使用することは禁止されていますが、PTT入力としては使用できるようです。
IQ Keyerは信号生成タイミングだけをAruduino Nanoのタイマー割込みで制御し、PWM信号からアナログフィルタで正弦波信号を生成しているため、ゼロ遅延として訴求しているようです。

あい路

IQ Keyerにはサイドトーンの調整ノブが付いていますが、ボリューム調整用であり、サイドトーン周波数変更用ではありません。サイドトーンは700Hz(694.4 Hz)に固定されています。SDRにしてサイドトーン固定とは先祖帰りのような気がしますが、タイマー割込み180uS(5.55555 kHz)と密接に関係しているようです(5.55555 kHz / 8 updates/cycle = 694.4 Hz)。PWMクロックとタイマー割込みの整数比の関係を崩すとジッターが発生するとのこと。
サイドトーン周波数を低くする分には、PWMクロックを低くしてタイマー割込み周期を長くする方向に調整することになるため、できそうに思えますが整数比に関する詳細検討が必要です。
IQ Keyerを使用する場合は送信IQオーディオ信号線に乗せるサイドトーン周波数が固定されるため、Tune(同調周波数)に対するLO(SI5351A局部発振周波数)のオフセット同期調整を行うことができるように、Quiskのハードウェアファイルのプログラミングが必要になります。