非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

室内ロングワイヤーアンテナはDXCCの夢を見るか(5)

DXCC カウントアップ

DXCC 102 : S. Cook Is. LoTW/QSL コンファーム

クック諸島DXpedition E51EMEと6m FT8および10m FT4で交信できました。サフィックスが示すように、EME(Earth-Moon-Earth:月面反射通信)を目的に含めたDXpeditionとのことで、CWの運用はありませんでした。FT8の由来がEMEであることを思い出しました。EMEについては6mで 21 QSOs(全体 2,245 QSOs) を達成したとのことです。

6m FT8による交信のSNRは His/My = +06/-11dB でした。彼我の差は17dBです。E51EME局が使用したRigはIC-705で当局と同じですが、1kWの自作PAが付いている点が異なります。単純なパワー比は20dBに及びます。また、アンテナはEMEを目的にしているため2×5 ele スタックとのこと。ビームの方向にも依りますが、室内LWとは比べようのない利得があると思います。現地のノイズレベルが高いとの情報も特にはありません。設備の差から考えると、SNRの差17dBは小さ過ぎます。これが6m Eスポの醍醐味かと思います。開局当時、6mハンディ機は中学生の入門機として好適だったのですが、いつの間にか6mはHF Rigのおまけバンドになってしまった感があります。

一方、10m FT4による交信のSNRは His/My = +11/-18dB でした。コンディションが良かったためにFT4でランニングしていたと思いますが、彼我の差は29dBに及びます。RigはIC-705で同じです。PAは200Wで、アンテナはデルタループとのこと。パワー比は13dB程度と思いますが、アンテナの利得を考慮しても、SNRの差29dBは大き過ぎるように思います。コンディションの波に乗れない室内LW×10Wの悲哀を時々感じます。

8月下旬に6m FT8で交信した後、9月上旬にOQRSリクエストを出し、10月15日にQSLカードが届きました。しかし、OQRSリクエスト後の9月中旬に10m FT4でも交信できたため、LoTWのコンファームもリクエスト(ドネーション)することになりました。これで、LoTWのDXCCクレジットは97となり、紙QSLカードの5エンティティと合わせて102エンティティになりました。

QRZ.comのページに運用日記が公開されています。それによると、QSLカードは首都があるラロトンガ島内で限定100枚を印刷し、クック諸島の切手を貼ってクック諸島郵便局に投函したとのこと。ClubLog先着100人の後はニュージーランドに帰国してからの発送になるとのことでした。9/13~14の記述を引用します。

2024-09-13 and 2024-09-14:
CIPO(クック諸島郵便局)を訪れ、この島で印刷したQSLの限定ロット(100枚)を発送した。 CIPOで切手を買うのは本当に忍耐力が試される。ボブが警告していたように、彼らの「ルール」は本当にバザールなのだ! いずれにせよ、最終的にすべてのロットを投函できたので、OQRSを利用した多くの人たちは、遅かれ早かれ「紙」のカードを手にすることになる。封筒にはカラフルなクック諸島の切手が貼られている。
(https://www.qrz.com/db/E51EME)(訳責ブログ筆者)

9月上旬に早々とOQRSリクエストを出したことにより、現地の綺麗な切手も入手することができました。2枚の切手には「COOK ISLANDS」や「TOURISM」といった文言が見られ、クック諸島が観光立国であることを訴求しています。1枚はパドルボートの絵柄、もう1枚はショッピングの絵柄になっていました。

切手を発行していることから分かるようにクック諸島は国です。エンティティは北と南に分かれています。今回は南クック諸島との交信だったため、北クック諸島と交信してDXCCを積み増す余地があります。

クック諸島立憲君主制国家ですが、ニュージーランド自由連合形態を取っているとのことで、国家承認していない国が多いとのこと。日本は国家承認しています。

DX近況

3D22 & 3D2V – Rotuma

オセアニアプリフィックス 3D2 には3つのエンティティがあります。フィジーコンウェイ礁、ロツマ島です。プリフィックスが分かれていないということは、昔は1つのエンティティだたのでしょうか・・・?

この中で、フィジーおよびコンウェイ礁はCWで交信済みでした。ロツマ島でコンプリートするため、DXpeditionを心待ちにしていました。

結果を下記に示します。なんとか10m CWで交信でき、CWで3つのエンティティをコンプリートできました。

FT8は、IC-705/AH-705と室内LWがカバーするバンドの中で、80mと6mを除くバンドスロットを全て埋めることができました。室内LW×10Wでは稀有な例です。80mは戦力外ですが、最近コンディションが良い6mを逃したのが残念なぐらいです。ハイバンド(10m~20m)は短期間に矢継ぎ早に交信できましたが、ローバンド(30m、40m)は難しく時間がかかりました。なお、Dupeが多発しているように見えますが、ログの二重アップロードがあったようです。

彼我のSNRを下表にまとめます。ハイバンド側の10mから15mは、室内LW×10Wの当局の方が良いレポートを受け取っています。MSHVによる運用だったため、ストリーム数に応じて逆転現象が起こり得るということだと思います。40mのSNRはFT8の下限限界値(-24dB?)を超えていました。深夜でQRMが少なかったのかもしれません。

CWよりFT8の方が交信が容易という結果になりましたが、上記dx-world.netに以下の記述があり、FT8の交信の機会が多かったのも事実です。

  • Modes: FT8 priority; CW and SSB less important.

最近のDXpeditionの一般的傾向かと思います。そのため、CWのパイルがなかなか小さくならないことにより、室内LW×10WのCW局には順番が回ってこないというジレンマがありました。15m CWも交信のチャンスがあり参戦しましたが、順番が回ってきませんでした。

DXpeditionにおけるFT8の利点は、MSHVやS/Fモードで並列交信が可能な点だと思います。CWで同一バンドの並列交信を行うと、片方はパイレーツになってしまうか、混信を引き起こして潰し合う結果に終わりそうです。FT8の方が同じ遠征期間で交信達成数が増えることから、DXpeditionが「FT8 priority」に傾くことは致し方ないことと思います。呼ぶ側は2つのモードを楽しんで、技術の違いに思いを馳せるということでしょうか。

PX0FF – FERNANDO DE NORONHA

DXpedition開始当初は、15m FT8で良く見えていましたが、室内LW×10Wの信号は届きませんでした。JAがパイルで呼んでいる時にもCQを連発していたため、片パスだったように思います。

後半は、スペクトラム上でFT8の信号が見えているのにデコードしないという残念な結果になりました。理由は、同じ時期に耳で聞いたCWの信号にヒントが隠されているように思います。

CWの信号も耳でデコードできないのです。スポット情報を見るとLP(Long Pass)との注記があり合点しました。LP信号優勢とはいえ、SP(Short Pass)信号も届いていると思われます。位相の少しずれた信号を合成すると唸り(エコー)が発生します。指向性アンテナであれば、LP信号優勢時にSP信号を抑制できますが、室内LWには無理な相談です。

FT8も唸り信号から位相シフト情報を取り出すことは難しいと考えれば、信号が見えていてもデコードできない現象が発生しそうです。FT8の性能アップのためにエコーキャンセラーを実装してほしいところです。

C21MM – Nauru

ナウルにはFT8でアクティブな常駐局が存在するため、10m/12m/30m FT8は交信済みでしたが、CWは未交信でした。今回のDXpeditionによって、15m FT8のスロットを埋めると伴に、12m/17m CWで交信できました。

30m CWのスロットもLog-inしていますが、残念ながら当局のログではNILです。確かに30m CWのパイルにも参戦したため、コールバックをQSBで取りこぼしたのかもしれません。599 TUは自局のコールバックと間違えた別の局が代返してくれたのでしょうか・・・。まだDXpeditionが進行中のため、機会があれば復活戦を挑みたいと思います。

ZL7IO – Chatham Islands

ZL7 チャタム諸島はニュージーランドの東側に位置し、ニュージーランドの特別領とのこと。どこかで聞いた(見た)ことがあるエンティティ名と思いましたが、CQ誌2024年 1月号に「ZL7A ニュージーランド チャタム島へのDXバケーション」という題名の寄稿がカラーページに掲載されていました。

まず、12m FT8で交信できました。CWにも参戦しましたが、時間切れになってしまいました。まだ、始まったばかりのため、CWによる交信の機会も今後あるものと思います。

新着QSL

JT1A - Mongolia

FT8でも室内LW×10Wでモンゴルと交信するのは容易ではありません。空振りが続いた後に、FT8でもモンゴルの3局と何とか交信できました。しかし、何れの局ともLoTWでCFMできませんでした。そこで、JT1AにOQRSリクエストを出しました。

JT1Aはコンテスト用の短縮コールサインと思われます。ホームはUSA CAのバークレーで、QSLはバークレーから送られてきました。風にはためくモンゴルの国旗を図案にした綺麗なQSLカードでした。

IR9RDIO - Italy Sicily

ARI(Associazione Radioamatori Italiani)のSES局と年に1~2回交信する機会があります。単なる記念局運用ではなく、アワードプログラムを運用しています。

今回は、Centenary of Italian Radio Broadcasting(イタリア・ラジオ放送100周年)を記念したアワードプログラム対象のSES局と17m CWで交信できました。深夜に再送を繰り返し、何とか取ってもらえました。hamaward.cloudから高解像度の綺麗なeQSLカードをダウンロードできます。

イタリアはCWで交信済みですが、IOTAとしてのシチリア島(IOTA EU-025)とは初めての交信と思います。残念ながら、eQSLにIOTA No. は記載されていませんでした。

イタリアには2回訪問したことがあります。ボローニャシチリアです。どちらも学会に絡んだ訪問であり、国際会議は風光明媚なところで開催される傾向があります。ボローニャ訪問については既に紹介しました。今回、シチリアと交信でき、人生の伏線をまた1本回収できました。