非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(15)

日乗

都市ノイズの原因特定

40mバンドに出現する都市ノイズの発生元の1つが特定できました。集合住宅の自宅の換気システムです。

化学物質過敏症の問題から、集合住宅には24時間換気システムが備わっています。基本的には365日24時間ONにしておくものですが、築年数が経過したことにより化学物質の揮発よりも春先の花粉の侵入の方が気になっています。そのため、春先の日中は24時間換気モードを一時停止することが増えました。OFFにしても気圧や温度差の関係で外気が多少なりとも受動的に流入して換気されることは確認しています。

最近、運用中に「40mバンドのノイズが消えた」と喜んでいたのですが、当初は自宅の換気システムの停止と連動していることに気付きませんでした。換気システムはローテク物で、ノイズの発生源になるような物は無いと思い込んでいたからです。それでも時々ノイズが復活するため、生活イベントとの相関を意識していたところ、24時間換気モードを一時停止した状態で浴室やトイレの換気をONにすると40mバンドにノイズが復活することに気付きました。

ノイズの特徴としては、受信信号を掻き消す強力なノイズが周波数軸に対して広く拡散します。ただし、周波数軸上のノイズの強度には濃淡があり、その濃淡がスペクトラムスコープ内を緩慢に移動します。コストダウンが要求される換気システムのモータにインバータによるアクティブな回転数制御は採用していないと思いますが、パッシブな制御の関係でノイズの周波数が変わるのでしょうか。その点はまだ謎です。

原因が分かったため、運用中は換気システムを停止することにし、40mバンドでの国内交信が増えました。ただし、夜間や早朝には別のモードのノイズが時々発生することがあります。こちらのノイズは、周波数軸上の強度は一様で、時間軸上で縞模様が表れます。40mバンドの都市ノイズの原因は複数あるようです。

春分のコンディション

春分秋分の頃のコンディションが1年の中で最も良いと聞くのですが、昨年の秋に比べて今年の春はコンディションの上昇をあまり感じられません。サイクル25のピークを過ぎてしまったのでしょうか。室内LW x 10Wの射程に何とか入る太平洋諸島のDXpedition局との交信の状況は以下の通りです。

  • TX5S (CLIPPERTON ISLAND)
    太平洋上ということで微かな期待がありましたが、交信できませんでした。パイルの大きさに圧倒されて戦意喪失でした。短い運用期間中に、そもそも御本尊が室内LWに聴こえる機会も少なかったと思います。
  • H40WA (Temotu Province)
    2つのバンドで交信できました。しかし、昨秋のH44WAより信号は弱く、交信は容易ではありませんでした。
  • FW8GC(WALLIS & FUTUNA ISLANDS)
    何とか1つのバンドで交信できました。室内LWに入感する信号は極めて弱く、困難な交信でした。
  • T32EU(EASTERN KIRIBATI)
    運用期間の折り返し時点からパイルに参戦し、機会を上手く捕らえて、1交信を確保しました。
    春分を過ぎても信号は弱いままでしたが、日没で一旦パスが消え、夜間にパスが復活した時に信号が強くなり、加えて日没でパイルが解散していたため交信できました。しかし、その日没法則は他のバンドでは再現しませんでした。一度限りの春の僥倖だったようです。
    ホームページを見ると、Pirateが忙しく活動しているとの注意がありました。別のDXpeditionでPirateに騙された経験があるため心配でしたが、翌日にClubLogにてスロットインを確認できました。

WPXアワード獲得の足踏み

WAC(CW)の次に狙うアワードは、DXCC(CW)100 もしくはWPX(CW)300としています。 どちらを速く獲得できるかを当初は予想できませんでしたが、室内LW x 10Wの設備ではWPX(CW)300の方が獲得が容易なようです。

室内LW x 10Wによる遠方のDX局との交信は、コンディションに恵まれないと困難です。一方、近隣のハム人口の多い(≒プリフィックス数の多い)エンティティとの交信は可能です。最も自局に近いエンティティはもちろんJAです。JA局のプリフィックスもカウントできるルールは追い風になります。ただし、JA局のLoTW普及率が足枷になります。

そのWPX(CW)が299で足踏み状態です。LoTWのカウントに紙カードも加えれば既に達成しているのですが、カードチェックはDXCC達成の時に行うとして、WPXはLoTWだけで獲得したいと考えています。春のDXpedition局がLoTWに対応していれば、近々に達成できる見込みですが・・・。

SASE発送

LoTWやOQRSに対応していないDX局が当該エンティティで唯一交信できた局である場合はSASEの出番です。今回、5通のSASEを発送しました。

年度末に郵便局に持ち込むのも面倒なため、コンビニで調達した切手を貼ってコンビニのポストに投函しました。何時の間にか、送付先地域のグルーピングが再編され、必要な切手も値上がりしていました。

今回、SASEが必要となったエンティティは、JT(Mongolia)x 2、UN(Kazakhstan)、KH0(Northern Mariana Is.)、LZ(Bulgaria)です。LZ(Bulgaria)とは3局と交信していますが、何れもコンファームが出来ていません。なお、エンティティと送付先国名が一致していない理由はQSL Manegerに送付しているためです。

DXpedition局のQSLカード着荷

XW4DX(LAOS)

2023/11/28 にOQRSにてリクエストし、2024/03/11に着荷しました。表面はQRVした湖水の島の風景写真でした。裏面には、首都ヴィエンチャンを流れるメコン川と思われる風景写真を背景に、メンバの集合写真と寺院のスナップ写真が配置され、QSLログシールが貼付されています。12mと15mバンドで交信できました。

大河メコン川は首都ヴィエンチャンまで渓谷を下ってくるため、QSLカード裏面の写真では濁っているようです。一方、QSLカード表面の湖水は濁っていません。表面と裏面は場所が異なると推測できます。

このDXpeditionを記録したYouTubeが公開されているため、QRVした場所を推定できました。首都ヴィエンチャンから観光都市のヴァンヴィエンに移動し、川をボートで移動しています。上流に向かったのか、下流に向かったのかは説明されていません。

XW4DX - Laos 2023 DXpedition - YouTube

地図で調べると、ヴァンヴィエンを流れる川は、メコン川ではなくナムグム川です。上流は山間部になるため湖水を地図上で発見することはできませんでした。下流には巨大なナムグム湖があります。ナムグム湖はダム湖です。日本のように山間部の渓谷に作ったダムではなく、河岸平野に作ったダムになるようです。これにより、水深の浅い巨大なダム湖が出現し、多島海のような様相を構成する多くの島々ができたようです。

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XW4DXはそんな島の1つからQRVしたようです。ラオスインドシナ半島内陸部に位置し、海岸線がないため海面反射の恩恵を受けることはできません。しかし、ダム湖の島からQRVすることにより、ダム湖水反射を利用したようです。YouTubeを見ると、スパイダービームアンテナは島の中央部に設営していますが、VDAアンテナは水辺に設営している様子が紹介されています。

ナムグムダムは日本とも浅からぬ関係があることが分かりました。そもそも、ナムグムダム建設を提案したのは日本人だったようです。ダム建設に際しては日本も資金援助に参加しています。

その後の発電所拡張事業にもODAによって有償資金協力を行っているようです。

XW4DXとの交信は「599 TU」の一瞬でしたが、これを機会として訪れたことのないラオスに関する知識が少しだけ増えました。

V62S(Micronesia, Satawal Island)

22023/12/18 にOQRSにてリクエストし、2024/03/07に着荷しました。2つ折りのQSLカードでした。表面には、Satawal Islandの風景写真を背景にスナップ写真が配置されています。裏面左側には、協力者との集合写真とスポンサーロゴが配置され、QSLログシールが貼付されています。10mと12mバンドで交信できました。緯度はフィリピンと同程度ですので、室内LW x 10Wでも射程範囲内です。

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早朝に10mバンドで交信した日の午後に12mバンドでもCQが聴こえてきました。他に呼ぶ局がいないことを確認してコールしました。室内LWには他局が聞こえていないだけということもあり得ますが、1回のコールで交信できました。

QSLカードの裏面右側には、Satawal Islandの紹介、使用したRig、QSO数の内訳、関係者への謝辞等が記されています。MicronesiaのIOTA16島の中で初めてアクティベートされる最後の島とのこと。また、10mバンドでのQSO数は僅か2.8%だったことが記されています。12mバンドは19.6%です。

遠征記がブログ形式で公開されています。また、CQ誌2024年3月号にもカラー4ページの手記が掲載されています。

ブログや手記を読むと、苦労の多いIOTA peditionであったことが良く分かり、頭が下がります。DXpeditionではチームを組んで臨むことが一般的ですが、ホテル等の宿泊施設の無い島へのIOTA peditionでは大挙して人が押しかけるわけにはいかないこともあると思いますが、一人で臨まれています。

手記の中に「JA局の傾向とIOTA」という耳の痛い章があります。IOTAではバンドカウントされないのに複数QSOするJA局が多いという苦言と共に3QSO以上の比率が掲載されています。2QSOならOKという訳ではなく言い訳になりますが、2つのバンドで交信した理由はPirate対策です。このPeditionの少し前に別のPedition局を追いかけていた時に、見事にPirateに騙されてしまいました。

その時の状況を参考までに記します。日没前にそのPedition局のパイルに参加していました。そろそろフェードアウトするかな?と思い始めた時に、QSBが小さくなってピックアップの効率が高くなりました。その波に乗ってQSOし、コールバックも確実に取れました。後にして思えば、QSBが小さくなる前に御本尊がフェードアウトし、Pirate局が上手くすり替わったのだと思います。Sは大きくは変わらなかったことと、室内LWでは方角を調べようもないことから気付きませんでした。FT8のログは直ぐにUPされても、CWのログのUPが遅れることは良くあります。しかし、待てど待てどコンファームできませんでした。加えてホームページに、ログの問い合わせには一切応じない旨の告知が出ました。おそらく、Pirateに騙された多くの局が問い合わせを行い、収拾がつかなくなったのだと思います。ここにきて騙されたことに気付き、他のバンドでも追い駆けるべきだったと思った次第です。

CQWW-DX CW 2023コンテストの最終結

最終スコアと順位

前々回2月3日にCQWW-DX CW 2023コンテストの分析を報告しました。

その最終結果が届きました。Single-Op Low All Bands部門で参加した最終スコアは37,014点で、順位はJA1エリアで40位でした。ハム人口の多いエンティティではエリア別に順位を出しているようです。ちなみに、同じ室内LW x 10Wの設備で臨んだ昨春のWPXは66位でしたので、少し順位を上げることができました。

ログ提出前にDupeを差し引いた自己採点は36,340点でした。一方、提出時に検算されたRawスコア(ログ相互照合前のDupe込みのスコア)は37,293点でした。最終結果はRawスコアからDupeを差し引き、さらにコピーミス等があれば減点されるはずですが、自己採点よりも増えていました(36,340⇒37,014点)。

詳細なレポートが送られてきますので見落としを精査したところ、自己採点では15mバンドのマルチ(KH8/s)が1つ計算に入っていませんでした。コンテストロガーのバージョンアップを怠ったためかと思われます。

参加局数の母数と相対順位の確認

順位が分かっても参加局数の母数が分からないと、スキルが向上しているかどうかの判断はできません。単に参加局数が減って順位が上がっただけかもしれません。

CQWW-DX CW コンテストのホームページに全てのスコアが公表されています。検索画面で参加局のQTH属性を絞れば母数を知ることができます。

JA1エリア、All JA、All Asia、All Worldの各範囲で検索した順位、母数(ログ提出局数)、相対順位を下記にまとめます。

All JAの相対順位45%は、JA1エリアの相対順位42%より少し下がりました。誤差の範囲かもしれませんが、敢えて理由を探せば、タワーも上げられず出力も上げられない当局と同じような境遇のアパマンハムの参加局がJA1エリアには多かったのかもしれません。Low Power部門で10Wの局は少ないと思いますが・・・。

All Asiaの相対順位43%は、JA1エリアの相対順位42%とほぼ同じです。Asiaにはビックガンが多いイメージでしたが、裾野はそうでもないのかもしれません。

All Worldの相対順位51%は、JA1エリアの相対順位42%より有意差有で9ポイント下がりました。例えば、EUはJAよりCountryマルチを稼ぎ易いのではないかと思われますが、推測に留まります。

弱点の分析

弱点は室内LWアンテナの効率が悪く、出力も10Wと小さいことですが、それは与えられた環境ですので、スキルや戦術・戦略でカバーできる点を探ります。

JA1エリア各局のバンド(40m、20m、15m、10m)別のQSO数を順位の順番で下記に示します。80m以下のLowバンドは省略します。

32位から37位の局は、40位の当局よりも15mもしくは10mバンドのQSO数が多いことが分かります。一方、さらに上位の27位から31位の局は、15mもしくは10mバンドのQSO数は当局と同レベルです。違いは、40mおよび20mバンドのQSO数です。特に当局の場合は、夜間の40mバンドのQSO数がゼロであることが響いています。

ここで、冒頭の伏線を回収します。CQWW-DX CW 2023コンテストが開催された11月下旬はまだ花粉が飛んでいなかったため、40mバンドの都市ノイズの原因が換気システムであることに気付いていませんでした。40mバンドはノイズによって国内交信も覚束ないため、DX交信は初めから諦めていました。

しかし、40mバンドの都市ノイズの原因に気付き、換気システムを一時停止して臨んだ2月のARRL DX CWコンテストでは、40mバンドでも21局とQSOできました。これは15mバンドと同数であり、マルチ(州の数)は15mバンドより多く獲得できました。

これにより、次回の戦略は明白です。換気システムを一時停止して、夜間は40mバンドで参加することです。

スコアを左右するマルチについても確認しておきたいと思います。まず、Zone数です。

QSO数と同じ傾向が観察されます。27位から31位の局は、15mもしくは10mバンドのZone数は当局と同レベルです。違いは、40mおよび20mバンドのZone数です。

次は、Country数です。

10mバンドのCountry数については、27位から31位の局より当局の方が多い場合があります。一方、15mバンドについては、当局の方が少なくなっています。遠方に届く要因として、10mより15mバンドの方がパワーの差が効いていそうです。

室内LW x 10Wの設備でCQWW-DX CW コンテストを楽しむことができそうなのは、10mバンドのパスが開けるサイクル25のピーク期間内であることが暗示されているようです。後、1~2回は楽しめるでしょうか・・・!?

 

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(14)

日乗

昨年秋に交信したPedition局のQSLカードの第二弾が届きました。ビューロー経由ではなくQORSでリクエストしたものですが、数枚毎にまとまって届くのが不思議です。郵送システムのどこかにバッチバッファが存在しているのでしょうか。

E6AM(Niue)

2023-10-23にリクエストしたところ2024-02-06に届きました。表面には、Niueの風景写真にメンバーのスナップ写真とスポンサーのロゴが配置されています。裏面は、Niueの風景を背景にした交信証明ログになっています。周波数が高い側の3つのHF High Band( 10m / 12m / 15m )で交信できました。

驚いたことに、Pedition局なのに手書きのQSLカードでした。謝辞に当局の名前まで個別に入っています。Club Logで確認したとことろ、QSO数は41,939回、Unique数(局数)は15,169局に上っています。何人の方がOQRSリクエストを出したかは分かりませんが、結構な数になったのではないでしょうか。頭が下がります。

H44WA(Solomon Islands)

2023-11-29にリクエストしたところ2024-02-06に届きました。2つ折りタイプのQSLカードでした。表面には、ガダルカナル島の風景、スナップ写真、アンテナの写真等が配置されています。裏面には、アンテナの写真を背景にしたメンバーの集合写真、スポンサーのロゴ、交信ログが貼付されています。5つのHF High Band( 10m / 12m / 15m / 17m / 20m )の全てで交信できました。

H44RH(Solomon Islands)

こちらも同じ時期に上記H44WAと前後して交信することのできたSolomon IslandsのPedition局です。同じガダルカナル島からのQRVでした。2024年早春も既に2局のH4(Solomon Is.)Pedition局の情報があり人気があります。

2023-11-28 にリクエストしたところ2024-02-13に届きました。表面は、水族館を思わせる絵画を背景にした現地のモデルの方の写真でしょうか。裏面には、交信ログが直接印字されています。15mバンドで交信できました。

日本語のメッセージが手書きされていますが、Opは海外在住の日本の方(JH4RHF局)でした。CQ誌2024年3月号の「近着QSL紹介」のページに「日本人ハムによる海外運用のQSLカード」として紹介されています。

この後、H44RHのOpの方はH40RH(Temotu Province)に移動されたらしいのですが、残念ながら交信できませんでした。しかし、年が明けて2月下旬にH40WA(Temotu Province)のPeditionがあり、昨秋のH44WAより信号は弱かったのですが何とか交信できました。

V6EU(Micronesia, Chuuk Island)

2023-12-17にリクエストしたところ2024-02-13に届きました。表面には、チューク諸島の風景を背景にした子供たちの写真とスポンサーのロゴが配置されています。裏面には、ヤシの木?の写真を背景にして、メンバーの集合写真、交信ログが貼付されています。18mバンドで交信できました。

LW3DG(Argentina )

こちらはPedition局ではなく、前々回報告したeQSLに「いいね」コメントをくれたアルゼンチンの局のQSLカードです。この一般交信は、20mバンドのCQにコールしてQSBがあるなか、なんとかレポート交換を行い交信できたものです。

過去にアルゼンチンの局とはコンテストで交信したことがありましたが、コンファームには至っていませんでした。この交信はeQSLにてコンファームできていましたが、eQSLはDXCCに無効ということでしたので、メールで紹介のあったQSLマネージャにOQRSリクエストを出しました。2024-01-09にリクエストしたところ一月後の2024-02-06に早くも届きました。

表面は Buenos Aires の薄暮の夜景写真、裏面にはアルゼンチンの国旗を背景に交信ログが貼付されています。裏面のバグキーの写真には「REAL HAMS USE CW」との熱い思いが銘記されています。

パドル

現在、Begali と Bencher のパドルを保有しています。Begali も Bencher もCWerには有名なパドルメーカです。奇しくも、同じ「B」で始まる社名(ブランド名)です。Begali はイタリアのメーカ、Bencher はUSAのメーカです。

元々、Begali の Magnetic Traveler Light を保有しており、これ1台を使い倒そうと思っていました。しかし、慣れた頃に「手崩れ」が発生してきたため、リハビリ?も兼ねて特性の異なる(と噂される)Bencher のパドルを使ってみたくなり、断捨離に逆行しますが入手しました。趣味の世界で道具に凝るのは共通事と思いますが、保管場所が無いため、パドルコレクターの沼にはまらないように注意したいと思います。

Begali Magnetic Traveler Light

モデル名称に入っている Magnetic は、パドルアームのストッパ待機位置への復元力を、一般に用いられるスプリングではなく、磁石の反発力から得ていることを表しています。Traveler Light は移動局用の軽量パドルであることを表しています。確かに Begali の他の重量級のパドルよりは軽量なのですが、日本人の体格では想定使用方法の通りに足にベルトで固定して運用するには重すぎます。移動局用モデルのため、機構部は全て外郭の中に納まっています。取り扱いに気を使う必要が無く、室内移動運用では重宝しています。

Begali Magnetic Traveler Light はシンプルな機構で設計されています。フィンガーピースを内側に押すと、回転軸の反対側のコンタクトが外側に移動して接点が閉じます。フィンガーピースを開放すれば、回転軸を挟んでコンタクトと同じ側のアームに作用する磁石の反発力で、ストッパまでアームが内側に移動します。後述のBencher と比較して、単純明快な機構です。

外殻もアームも、角にはRではなく面取りが見えるため、鋳造部品ではなく、精度の高い削り出し部品と思われます。まだ分解していないため予想ですが、回転軸はボールベアリングで受けているのではないかと思われます。剛性は非常に高く、弾性変形する部分はプラスチックで出来たフィンガーピースのみとなります。フィンガーピースをオプションのアルミ製に換装すれば、弾性変形する部分が一切ない超高剛性パドルになります。打鍵感触は「カチカチ」という感じでしょうか。

Bencher JA-1

Bencherパドルの第一印象は不思議な造形をしているということです。その外観は、羽を広げた鳥あるいは両前足を踏ん張った爬虫類のオブジェのようでもあり、使途不明の手術器具のようでもあります。電鍵である限り、回転軸があって、ストッパとコンタクトの間をアームが往復運動する機構になっているはずですが、その回転軸を特定することが写真からは困難なのです。

Bencherパドルの代理店販売情報には容易にアクセスできますが、メーカのHomePage(Bencher.com)へのリンクはVIBROPLEXの販売ページにリダイレクトされてしまうようです。M&AによりVIBROPLEXの傘下に入ったのでしょうか。Bencherパドルの技術情報等はWeb上になかなか見つかりません。しかし、Webページの「世界の電鍵デザイナーたち」に微かなヒントがありましたので、引用させて頂きます。

W8FYO
Joseph A. Hills / Joe Hills
米国アリゾナ州フェニックス
 1962年に揺り軸と針状の接点を組み合わせたパドルを初めてデザインしたことで知られる米国オハイオ州デイトンの電鍵デザイナー。ジョセフが発明したこの種の電鍵はFYO型と呼ばれ、ベンチャー(Bencher)社やMFJ社などの製品に採用されて一世を風靡した。現在もベンチャーのBY-1/2/3やMFJ社などの製品に採用されている。

ちなみに、Bencherパドルの米国オリジナルの型番はBY-1/2/3です。JA-1/2は、日本の代理店がリクエストを出して、アーム引き戻しスプリングのテンション調整機構を設けたJA専用モデルを表すようです。数字は台座の仕上げの違いを表します。手入れ不精の当局は、指紋を気にする必要のないアルマイト仕上げ?のJA-1を選択しました。

「揺り軸」と「針状の接点」がヒントです。これを手掛かりに、パドル機構の仕組みを調べてみました。

FYO型パドル機構の謎解き

Bencherパドル機構の各部の役割は上写真の通りです。なお、各部の名称は説明のために当局が便宜的に呼称したものであり、正式名称ではありません。

アームは45度曲げが3回続く複雑な形状をしており、削り出し部品ではなく板金加工部品です。薄板の板金加工部品とすることで、コスト低減の効果の他、弾性変形特性を与える効果があり、Bencherパドル固有の打鍵感触を創り出す要素の1つになっているものと思われます。

奥の固定円環部品の前方に、左右2つの可動半割れ円盤が配置されています。アームはこの半割れ円盤にねじ締結されています。また、この半割れ円盤に挿入されている白い(テフロン?)部品が、件の「揺り軸」の軸受と思われます。角度を変えて見ると、下にも「揺り軸」軸受が見えます。

スプリングは固定円環部品の内側を通り、その端は円周方向から可動半割れ円盤を貫通するネジに引っ掛けられています。このネジの飛び出し長さを調整することで、固定円環部品の内周を支点にスプリングが少し屈曲します。このネジの飛び出し長さが、後述の上下2つの「揺り軸」を結ぶ仮想回転軸と、スプリング引っ張り力の作用点の間の距離を決めており、ネジ飛び出し長さの調整により可動半割れ円盤の引っ張り力モーメント(トルク)を調整できるようです。本家BY-1/2/3では、このネジのみが引っ張り力の調整機構になるようです。調整範囲が狭いためか、JA-1/2では別途に引っ張り力調整機構を後方に設けたものと思われます。

固定円環部品からは、スラスト方向にストッパの役割を果たす先端の鋭いネジが飛び出しています。フィンガーピースを開放した時に、可動半割れ円盤を貫通しているアーム締結ネジの端部がストッパに当たることで、可動半割れ円盤はコンタクト解放位置に静止します。

フィンガーピースを解放静止位置から(自己責任で・・・)さらに逆方向に無理に捩じることで、「揺り軸」軸受(白い部品)に嵌まる金属軸の先端を外して、その円錐形状を観察することができます(下写真左)。また、観察角度を変えると、「揺り軸」軸受側のすり鉢形状を確認することができます(下写真右)。

金属軸の先端は円錐形状をしています。写真の解像度が悪いのですが、シャープペンシルのように円錐の先から針が飛び出しているように見えます。これが「針状の接点」でしょうか・・・。

金属軸の円錐テーパー角度と「揺り軸」軸受側のテーパー角度が同じか異なるかは不明です。テーパー角度が同じであっても、「針状の接点」でオフセットが得られれば、金属軸に対して軸受は360度どの方向にも”揺れる”ことが可能です。右写真の左側の軸受を見ると、軸受すり鉢と金属軸円錐の間に”遊び”(隙間)があることが確認できます。

前述の通り軸受を2つ用いることで、回転自由度の1次元を拘束して揺れる方向は1次元に縮退します。これにより、固定円環から突き出た金属軸に対して、2つの軸受が埋め込まれた半割れ円盤はアームの方向のみに”揺れる”仮想回転軸を持つことになります。

最後に、役割が良く分からないネジが1つありました。「ガイドネジ」と仮称しています。マイナスネジなので締結用のネジでないことは分かります。このネジを締めたら、半割れ円盤が固定円環に固定されてしまいそうです・・・。

固定円環に対して、半割れ円盤を円周方向とスラスト方向の両方向に緩く拘束しているだけです。前述の通り、半割れ円盤はスプリングの引っ張り力モーメント(トルク)によって固定円環に押し付けられているだけです。興味本位にフィンガーピースを逆方向に捩じると、半割れ円盤は金属軸から外れてしまいます。珍局を見つけて勢い余った際に、部品が飛散しないように緩く拘束しているのではないかと推察しています。固定円環に対して半割れ円盤をガイドして、組立を容易にするといった役割も考えられます。

実物を入手して漸くFYO型パドルの機構が理解できました。パドルの機能から機構を構想すれば、自然に Begali Magnetic Traveler Light と類型の機構に落ち着くと思います。W8FYO局は一体どのようにFYO型パドルを着想したのか、その謎は残ります。このようなパドルを発明してくれたことに敬意を表し、W8FYO局のコールサインを記憶に留めたいと思います。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(13)

WWA 2024

概要

正月のQSOパーティに参加している時に、HF High Bandでインドネシアの特別記念局8A0RARIがCQを出していることに気付きました。QRZ.comから辿って調べたところ、WWA(World Wide Award) 2024という名称のDXアワードプログラムがHamAward上で開催されていることを知りました。

ルールを確認したところ、「Marconi生誕150周年」の記念アワードということでした。

1. Purpose
Promote friendship between amateur radio, and celebrating the 150th anniversary of the Marconi birth in 2024, involving as many country as possible in a single event.

8A0RARI - Callsign Lookup by QRZ Ham Radio

CW(10点)、SSB(5点)、DIGI(2点)のモード別配点で特別記念局と交信し、100点を得ればアワードを獲得できます。交信の難易度はSSB>CW>DIGIの順番と思いますが、無線電信機を実用化したMarconiの生誕を記念していることからCWの配点が最も多くなっているようです。CWモードであれば10局バンドと交信できればアワードを獲得できます。

ヨーロッパ中心のアワードプログラムの場合、室内LW×10Wによる10局バンドの達成は困難です。しかし、今回はWorld Wideということで、JA近隣の特別記念局としてインドネシアの8A0RARIに加えて、中国から10局が参加していました。5つのHF High Bandで合計すると、JA近隣の11の特別記念局と55回の交信機会が期待できます。中国(の内陸部)との交信は決して容易ではありませんが、チャンスはあると考え積極的に参加しました。DXのオフシーズンですが、1月の1か月間に渡って楽しむことができました。

結果

合計30局バンドのCW交信により300点を獲得し、WWA 2024アワードをハントすることが出来ました。条件の100点は1月の第一週に達成し、その後1月末までに300点まで伸ばすことが出来ました。長丁場にも係わらず特別記念局がアクティブにQRVしてくれたおかげです。

「ALL Bands CW」の順位は2819 / 32972位(上位8.5%)でした。手前味噌ですが、上位1割に入るとはなかなか良い順位です。単独バンドでのアワード獲得はありませんでした。6つのバンドを行ったり来たりしてDX局と交信することができた室内LWアンテナの成果です。心の中の特記は「室内LW × 10W」です。

CWの交信実績しかありませんが、SSBとDIGIを入れた「ALL Bands Mixed」の順位は5164 / 110385位(上位4.7%)でした。こちらの方が相対順位は高くなりました。SSBおよびDIGIによって間口が広がったのに対して、DIGIの追い上げは少なかったようです。やはり、CW重視の配点が効いているのでしょうか。

交信できた特別記念局バンドの内訳を下記に示します。HF High Bandをフル活用した成果であることが分かります。序盤は15mバンドが中心でしたが、長丁場の中で10mバンドに加えて室内LWが苦手とする20mバンドまで広げることができました。40mバンドの交信も終盤に1つ(BY5EA)だけできました。

予想通りに冬のEUは厳しかったのですが、Marconi生誕国のイタリアII5WWA(Toscana州)と交信できたのは本アワードの趣旨からして白眉でした。

NAは比較的容易では・・・と高を括っていたのですが予想外に難しく、終盤にN1W(NH)と何とか交信して溜飲を下げました。NH(New Hampshire)州は東海岸のボストン近郊です。他のNA局の所在地も、N0W(MN州)、N2W(Virgin 諸島)、N9W(WI州)となり、西海岸が1局も入っていないことが交信を難しくした原因と推測しています。

統計

特別記念局のQRZ.comページから統計情報を参照できます。

Top Countries

1位はMarconi生誕国のイタリアでした。本アワードの趣旨から言って順当な結果です。2位ドイツ、3位北米に続いて4位はポーランドでした。少し意外な気がしました。5位ヨーロッパロシア、6位が日本でした。ハム人口が減少中とは言え、まだまだ存在感があります。7位インドネシア、8位中国です。特別記念局を10局も擁している中国ですから、もっと上位に行くと思っていましたが、ハム人口はまだまだ少ないのでしょうか。9位イングランド、10位スペインとEU勢が続きます。

Bands・Modes

40mおよび20mバンドの参加者がHigh Bandsより多かったようです。やはり、北半球は冬ということでHigh Bandsのコンディションが良くなかったということの反映でしょうか。モードはFT8とFT4(とRTTYとPSK)を合わせるとDigiが一位になります。CWの参加者が最も少なかったため、CWへの高配点が順位を左右したと思われます。

Activators

各特別記念局の交信数です。〇印は交信できた特別記念局です。

室内LWに聞こえていた中国の特別記念局のアクティビティは高いと思ったのですが、EUの特別記念局のアクティビティはそれ以上に高かったようです。室内LWに聞こえなかっただけのようです。EUの比較的狭い範囲にハム人口が多いことの裏返しかと思います。

室内LWに最初に聞こえてきたインドネシアの特別記念局8A0RARIが1位でした。Opは106人が参加したようです。思い起こせば、8A0RARIのCQは毎日聞こえていましたが、打鍵速度は毎日変化していました。

特別記念局のロケーション分析

普段のコンテストでも、中国の局との交信は容易ではありません。特に内陸部の局に対しては最後のホップが地表反射となり、10Wの微弱電波が霧散してしまうのではないかと推測しています。基礎馬力の不足です。それでも、WWA 2024では競合局のいない時に丁寧に拾ってもらった感があります。

良い機会ですので、特別局のロケーションを分析してみました。

BY1RX

QRZ.com掲載の住所Chaoyang Districtを検索すると、北京市朝陽区と出てきます。

15mバンドを皮切りに3つのバンドで交信できました。やや難しかったように思います。電波が海上で反射するか、あるいは日本国内、朝鮮半島、中国国内の地上で反射するかは、シミュレーションをしてみないと詳細不明です。

BY2AA

QRZ.com掲載の住所Harbin, Heilongjiangを検索すると、中国の最北端にある黒龍江省省都ハルビン市と出てきます。

15mと17mの2つのバンドで交信できました。距離的には近いのですが、内陸部のため地上反射で電波は減衰していると思われます。

BA3RA

QRZ.com掲載の住所Shijiazhuang City, HEを検索すると、河北省の省都石家荘市と出てきます。

15mバンドでのみ交信できました。BY1RX(北京)と近いように見えます。同じように、電波が海上で反射するか、あるいは日本国内、朝鮮半島、中国国内の地上で反射するかは、シミュレーションをしてみないと詳細不明です。

BY4DX

QRZ.com掲載の住所はBureauの住所になっています。SHANGHAI DX CLUBのコンテスト局ですので、グリッド地図に示される上海がQTHと思います。

最初に交信できた中国のWWA特別局です。5つのHF High Band(10/12/15/17/20m)の全てで交信できました。

瀬戸内海を上手く抜けて、九州を飛び越えれば、海面反射のみで交信できそうな位置関係です。加えて、コンテスト局ですので素晴らしいアンテナを使っているようです。

BY5EA

QRZ.com掲載の住所は浙江省嘉興市海塩県になるようです。日本とは異なり、市の中に県が位置するようです。海塩県は紀元前222年に秦が設置したとのことですので、古の行政区ですね。

WARCバンドを除いた40m以下の4バンド(10m/15m/20m/40m)で交信できました。海塩県は上海近郊の河口の行政区になります。BY4DXと同様に海面反射だけで交信できそうです。

WARCバンドで交信できなかった理由は、コンテスト局ということで、WARCバンドのアンテナがそもそも上がっていないためのようです。

WWA特別局の中で唯一40mバンドで交信できました。WWAプログラムが終了に近づいた1月下旬の午前に20mバンドで交信し、その日の深夜に40mバンドで交信できました。1回のコールで正確にコールバックがあったため少々驚きましたが、その後の「599 TU」は4回送る必要がありました。やはり、室内LW×10Wでは弱い電波しか届いていなかったようです。OPの方が同じで午前のコールを覚えていてくれたのか、あるいはロガーが履歴DBを参照して候補リストの上位に提示してくれたのか・・・コンテスト局ということで後者の方があり得そうです。

BY6QS

QRZ.com掲載の住所WUHAN HUBEIは、湖北省武漢市になるようです。

周波数が高い側の3つのHF High Band(10m/12m/15m)で交信できました。内陸部のため地表反射の影響がありそうですが、交信できていました。

BA7LOK

QRZ.com掲載の住所FOSHAN, GUANGDONGは広東省仏山市になるようです。

香港に近く、過去にはコンテストで4回交信した実績がありますが、今回は聞こえてきませんでした。前記の特別記念局別の交信数から見ても、アクティビティが低かったようです。

BY8DX

QRZ.com掲載の住所Chengdu Sichuanは、四川省成都市になるようです。グリッドマップでは北京にマークが打たれますが、成都市は重慶市の左上付近のはずです。

12mバンドを除いた4つのHF High Band(10m/15m/17m/20m)で交信できました。内陸部のため地表反射の影響がありそうですが交信できていました。地表反射で減衰するために内陸部の局との交信は困難・・・との仮説は怪しくなりました。

BY9NX

QRZ.com掲載の住所Yin Chuanは、寧夏回族自治区銀川市になるようです。

入感せず、交信できませんでした。内陸部に位置し、距離的には上記BY8DXに近いようですが、降水量が非常に少ない高原の乾燥地帯に位置するようです。電波の反射に地表の水分量が影響する・・・とは考え過ぎでしょうか。銀川市から北に上がったモンゴルも室内LW×10Wでは交信の難しいエンティティです。前記の特別記念局別の交信数から見てアクティビティも低かったようです。

BG0DXC

QRZ.com掲載の住所Urumqiは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市です。

入感せず、交信できませんでした。前記の特別記念局別の交信数から見てアクティビティも低かったようです。もしかしたら、短期間の遠征局だったのかもしれません。

中国のWWA特別記念局の中で最も遠方に位置する局になります。モンゴルより遠方の乾燥地帯です。「世界で最も海から遠い都市」(ギネス記録)とのこと。ただし、さらに日本から遠方の中央アジアWWA特別記念局EX0DX(キルギス)は一瞬ですが室内LWに入感しました。ウルムチとは乾燥地帯ではない点が相違点です。

 

特別記念局のロケーションを分析してみると、意外に内陸部の特別記念局とも交信できていました。「内陸部の乾燥地帯の局との交信は難しい」に仮説を変更します。真偽は不明です。単純にアクティビティに依存しているだけかもしれません。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(12)

日乗

QSOパーティ

昨年2023年のQSOパーティは、都市ノイズの多い40mシングルバンドのCWモードで参加したため、20局に届きませんでした。(HF High Band全域に渡る薄いノイズの源は蛍光灯であることが判明しましたが、40mバンドの濃いノイズの源はまだ不明です。冬季の早朝は発生しなこと、およびノイズ帯域がバンド内を緩慢に移動することから、エレベータや機械式駐車場を疑っています。)

一方、今年は40m以上のHFオールバンド+6mバンドのCWモードで参加したため、初日に20局を達成できました。後は室内LWアンテナ評価の一環としてバンドスロットを埋めることに励みました。

結果、80mバンドを除いて室内LWアンテナがカバーする残りの8バンド全てで交信することができました。HFハイバンドのスロットを埋めることが出来たのは、POTA/SOTA移動局のおかげです。局数は30m(10MHz)バンドで伸ばすことができました。しかし、最近、30mバンドでも都市ノイズが観測されることが気になる点です。

QSLカード

電子QSL(LoTW、eQSL、hQSL)優先のポリシーとしていますが、電子QSL交換可能な局の比率は体感で半分弱ぐらいでしょうか・・・。紙QSLカードをちょうど年末に使い切ってしまったため、新しい図案で発注しました。国内用とSASE海外用の図案を分けました。国内用はQTHローカルの写真、海外用はステレオタイプですが日本を代表する国宝絵巻(今年の大河ドラマ関連)の図案としました。

先日、eQSLを交換したアルゼンチンの局から「e-qsl にある日本画のアートワークがとても気に入りました。」とのイイネコメントがメールで届きました。こういった感想が寄せられると嬉しいものです。それもあって、海外用の図案は日本のオリジナリティが感じられる国宝絵巻にしました。

ところで、アルゼンチンの局から届いたメールは日本語とアルファベットの文章が併記されていました。スペイン語の文章を翻訳ソフトで日本語に訳したのかと最初は思ったのですが、よく読むと仮名漢字日本語文章とローマ字日本語文章の併記でした。日本語の書き言葉(仮名漢字文章)を勉強する前に発声言葉(ローマ字文章)から勉強されているのかな?と推測しています。返信をローマ字で書くか、仮名漢字で書くか、悩んでいます。英語とそこから翻訳したスペイン語にすべきか・・・。

Pedition局のQSLカード着荷開始

正月が明けると、昨年秋に交信したPedition局のQSLカードが届き始めました。

T2C(Tuvalu)

2023/10/25にOQRリクエストを出し、2024/01/09に着荷しました。

表面には現地のモデルの方でしょうか・・・、加えて現地の風景や運用の様子を写したスナップ写真が配置されています。裏面にはメンバーの集合写真、スポンサー関連のロゴが配置され、交信証明書シールが貼付されています。

15mバンドが痛恨のDupeになっています。コールサインの聴き間違いに後から気付いたためです。ワッチが重要との教訓となりました。

YJ0TT(Vanuatu)

2023/11/03にOQRリクエストを出し、2024/01/09に着荷しました。二つ折りタイプのQSLカードでした。上部に写り込んだBegaliのパドルは折り目を抑える文鎮の代わりです。

表面はメンバーの集合写真、裏面はSpiderbeamアンテナの写真です。見開きの左は各メンバーの運用風景の写真、寄付をした方への謝辞、スポンサーのロゴが配置されています。右には交信証明書シールが貼付され、チームの紹介が記されています。メンバー毎にコールサインが異なるように見えますが、YJ0TTチームとなっているため、最終的に1つのコールサインで運用したのではないかと推測しています。

3B8M(Mauritius)

前回報告した3B8M(Mauritius)のQSLカードです。2023/12/02にOQRリクエストを出し、2024/01/10に着荷しました。既にLoTWにてコンファームできていたのですが、室内LWアンテナ×10Wにとってアフリカは最難関の大陸となるため、記念にQSLカードが欲しくなった次第です。

表面は前回報告したMauritiusを代表する?特徴のある岩山の写真と20mおよび10mのアンテナの写真です。コンテスト名に付記された西暦は2021でした。初回の遠征時に刷ったQSLカードが余っているようです。OQRSの有無に係わらずコンテスト後即座にLoTWにアップしてくれるため、QSLカードのニーズが少なかったのかもしれません。

裏面は(2021年の)メンバー集合写真、設備の紹介、交信証明シールの貼付です。交信証明の日付は間違いなく2023年となっており問題ありません。

WAG UBNレポート

昨年10月下旬に開催されたWAG(Worked All Germany)コンテストのUBNレポートが届きました。WAGはドイツ対DXのコンテストです。

UBNレポートは提出ログの全数照合によって、Uniques(他のログに出現しない特異なコールサイン)、 Bad calls(コールサインもしくはコンテストナンバーの受信間違い)、 NILs(相手ログからの欠落)等を調べて、減点等の理由をレポートしてくれるものです。コンテスト中に正しく交信できていたか、正しくないとしたら何を間違えていたのかを振り返ることのできる貴重な情報源です。

例えば、1局としか交信できなかったためにログを提出しないと、自身がUniquesになってしまい、交信相手局にUniquesとして通告される可能性があるかもしれません。交信数に係わらずログの提出が求められる所以です。ただし、WAGではUniquesのリストアップに留め、Uniquesを減点の対象にはしていないようです。

EUとはパスが開けても、経験上、狙った特定の国(今回はドイツ)とのパスが開けるとは限りません。今回もドイツ各局からは室内LWに弱い信号しか入らず、コンテスト局を中心に5局と交信するのが精一杯でした。提出ログと最終スコアは下記の通りです。

提出ログ5交信に対して最終スコアも5交信を確保し、幸いなことにUBNはありませんでした。NILsも無かったため、お相手頂いた5局のポイントにも貢献できたかと思います(NILsではなく相手局ログのBad callsになっている可能性もありますが・・・)。EUからのQSBやエコーを伴うコピーバックは何時も空耳コピー気味になり、確信を持てずに終わることが多いのですが、室内LW×10Wの微弱信号を正しくコピーしてくれたことに感謝です。

Single operator, CW, low power部門の順位は336/339位でした。ドイツ周辺のEUの局とは競争になりませんので、参加することに意義ありの結果となりました。

CQWW-DX CW 2023コンテストの分析

漸く分析に着手しました。

Raw Score

ロガーで計算したスコアは36,340点でしたが、提出後のRawスコア(ログ相互照合前のスコア)は37,293点に増えていました。Dupeが2件あった(反省)ことが影響しているようです。ロガーはDupeを点数から差し引きますが、RawスコアはDupeのチェックもまだ未適用のようです。


全体の暫定順位は801/1441位で、上から56%の位置に付けていますが、Dupe減点でもう少し下がりそうです。AS大陸内の暫定順位は128/277位で、46%の位置に付けています。Dupe減点の影響は無さそうです。JA国内の暫定順位は91/195位で、47%の位置に付けています。こちらもDupe減点の影響は無さそうです。室内LWアンテナ×10Wの運用に対して、思いのほか良い暫定順位に付けることが出来たように思います。

コンテスト中のコンディションが良すぎた?ためかQRMが激しかったため、このRawスコアからUBN等の減点が差し引かれるものと思います。採点レポートを楽しみに待つことにします。

Multi

バンド(14MHz、21MHz、28MHz)別のDXCCマルチとZoneマルチを下記に示します。

14MHzバンドのマルチは全て他のバンドでも交信できています。21MHzバンドで獲得できたマルチが最も多くなりました。ただし、28MHzバンドのみで交信できたZoneマルチが4つ(6、13、16、18)ありました。Zone 6は北米の南部(XE:Mexico)、Zone 13は南米の南東部(CX:Uruguay)、Zone 16は東欧(UA)、Zone 18は中部シベリア(UA9 (H, O, U, Y, Z))です。

交信できたZoneを下記Mapにマーク(〇)します。赤のマークは28MHzバンドのみで交信できた上記の4つのZoneです。

やはり、普段交信できていないZoneを落としています。中央アジア、中東、アフリカ、南米西海岸といったところが室内LWアンテナ×10Wでは交信が難しいZoneです。中東以外は聞こえたことはあるため、2024年の課題です。

One-day WAC

One-day WACアワードの発行者は、本家のIARUではなく、JARL関西地方本部です。One-dayの定義は「0000~2400JST」となっています。ただし、「DX局はUTCでも可」となっていて、DX局はOne-dayのUTC定義を選択できるようです。クラッシックモードでOne-day WAC達成の機会が多いのはDXコンテントであるとすると、JA局もOne-dayのUTC定義を選択できるようになっていると良いのですが・・・、今回はUTC/JSTどちらのOne-day定義が吉と出たか検証します。

QSOレートグラフを下記に示します。朝方に交信数が伸びていることが分かります。UTCのOne-day定義は朝方の山を分断するのに対して、JSTのOne-day定義は山を孤立させます。両者の違いを分析しました。

陸別QSO数を時間別に集計した表を下記に示します。上部にUTC/JSTのOne-day定義を示しました。

室内LWアンテナ×10Wの宿命として、QSO数が少ない大陸は、一位がアフリカAF(2回)、二位が南米SA(7回)、三位が欧州EU(10回)でした。この3大陸がOne-day WACの達成成否を決めます。

唯一のAFは上記にQSLカードを紹介した3B8Mとの2バンドのQSOで、既にコンファームできています。二日に分割されるUTCのOne-day定義では2つのQSOが一日目と二日目に分散され、両日共にOne-day WAC達成の可能性が出てきます。一方、三日に分割されるJSTのOne-day定義では2つのQSOが二日目に集中し、この日しかOne-day WAC達成の目がありません。

UTC一日目のSAおよびEUQSO数は十分足りており、コンファームもできています。One-dayのUTC定義を選択できれば、祝One-day WAC達成です。

UTC二日目のSAおよびEUQSO数はそれぞれ1回だけです。SAはPV2(Brazil)とのQSOがコンファームできています。EUはOM7(Slovak Rep.)とのQSOのコンファームにSASE送付が必要で、未完です。OM7がコンファームできれば、二日連続の祝One-day WAC達成です。

JST二日目のSAのQSO数は十分足りており、コンファームもできています。EUQSO数は2回で、その中の1回は上記OM7(Slovak Rep.)です。残る1回はRL3(European Russia)とのQSOで、こちらもコンファームにSASE送付が必要で、未完です。

当初予想した通り、今回のDXコンテストでのOne-day WAC達成には、JSTよりもUTCのOne-day定義の方が有利であるとの分析結果になりました。JSTのOne-day定義によるOne-day WAC成就のために、既にDXエンティティとしてはコンファームできているOM7(Slovak Rep.)もしくはRL3(European Russia)にSASEを送付するかどうか逡巡しています。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(11)

日乗

瑞祥新春

2024年元旦、北風が吹き快晴でした。今年も丹沢山塊の向こうに冠雪の富士山が良く見えていました。

今年の四文字熟語は瑞祥新春(ずいしょしんしゅん)にしました。「新春を迎え、良い兆しがありますように」という意味があるそうです。

ALL JA8コンテス参加記念品

昨年は内外のコンテストに精力的に参加して、室内LWアンテナ×10Wの性能評価を行いました。何れのコンテストにも呼び回り専門で参加し、入賞には遠く届きませんでした。

しかし、その中で21MHzシングルバンドで参加したALL JA8コンテストでは参加15局中3位につけることが出来ました。1位の局とは得点もマルチも倍異なりますが、2位の入賞局には肉薄していました。

惜しくも入賞は出来ませんでしたが、北海道8支部発足50周年の参加記念品としてトートバッグが抽選で当たりました。関係者のみなさまありがとうございました。

CQWW-DX CWコンテストでの3B8(Mauritius)との交信

遅筆に陥っていますが、昨年11月下旬のCQWW-DX CWコンテストの覚え書きを今年の再戦に向けて残します。

前回記したアフリカのS7(Seychelles)とコンテストで再び交信することはできませんでしたが、同じCQゾーン39の3B8(Mauritius)と交信することができました。その時の状況と後日の調査結果を書き残します。

20mバンドでの交信

コンテスト初日の夜、室内LWアンテナに入感する局はHigh Bandから順番に消えて行きました。そこで、室内LWアンテナの効率が良くない20mバンドに降りたところ、入感する局自体は少ないのですが、聞き慣れないコールサイン3B8MがQSBを伴いRST=319程度で入感してきました。調べると、アフリカ大陸東側のインド洋上のMauritiusであることが分かりました。

その時間帯は主にEUと交信している様子でしたが、時々JAも交信に成功しているようでした。そこで奇跡を願って果敢に呼んでみましたが、もちろん空振り。コンディションの上昇を期待して深夜までワッチを続けたところRST=419程度まで上昇してきましたが、このコンディションでは10Wで呼んでも空振りです。翌朝のコンデション上昇を願って就寝しました。

コンテスト二日目の翌朝、早起きをしてIC-705のスイッチを入れたところ、20mの同じ周波数で3B8MがRST=589で入感していました。JA各局が次々と交信していますが、パイルはそれほど大きくない様子(聞こえなかっただけかもしれません)。IC-705渾身の10Wでは、kWのビックガンのみならず100Wのベアフット局の信号にも埋もれてしまいます。しかし、周波数オフセットを上に下にずらして試行錯誤することと数回、遂にリターンがありました。昨夜から粘った末の交信であるため達成感もひとしおです。

南米とは既に初日に交信できていたため、このコンテストでのWAC達成を確信しました。問題はOne-Day WACが達成できているかどうか・・・。

15mバンドでの交信

同じコンテスト二日目の夜、15mバンドで室内LWアンテナに聞こえてくる局はJAもしくは近傍アジアのランニング局だけになりつつありましたが、チューニングノブを回してバンド内をスキャンしていると3B8Mが15mバンドでも聴こえてきました。早朝の20mバンドよりも信号が弱い感じでしたが、すかさずコールしたところ驚いたことに今度は1回でリターンがありました。

これが20mと15mの違いなのでしょうか・・・。20mよりも反射する電離層の高度が高い15mの方がホップ数は少ないため、10W出力信号の減衰が緩和されたためか。あるいは2日目ということもあり各局は既に交信してしまい、競合局がいなかったためか。

3B8M遠征局についての後日調査

後日、3B8Mのコンファームを成就するためにQRZ.comのページを調べていると、Facebookの遠征記録やYoutubeの講演録へのリンクが掲載されていることに気付きました。ちなみに、2バンド共にLoTWでコンファームできました。

ロケーション

Mauritiusに標高の高い山は無いとのことでしたが、Facebookの表紙には形状に特徴のある岩山の写真が掲載されています。しかし、この岩山の頂上から電波を出した訳ではないようです。

上記QRZ.comのHamGrid Mapsを拡大すると下記左の地図のように海上にピンが打たれています。これでは3B8M/MMになってしまいます。Gridデータの誤差かな?・・・と思って航空写真に切り換えると、砂州で陸地とつながった岩礁に設けられたコッテージを拠点にQRVしていることが分かりました。

砂州も海水を含むと思われるため、360度海面反射の恩恵に与かれそうな絶好のロケーションです。しかも、ポイント大票田のEU/NAとJAに向けては砂州もありません。

アンテナ

Team 3B8MのワッペンはVDA(Vertical Dipole Array)アンテナを持つドードーモーリシャス島にかつて生息していたが絶滅してしまった鳥)です。

前回記したS79/G4IRNと同じく、3B8MのアンテナもVDAが主力であることがワッペンから分かります。ゴルフバックやスキーケースに入れて手荷物とするためには、軽量なVDAアンテナが好適なためと思われます。
Facebookの写真集(https://www.facebook.com/3B8Mauritius/photos)、および2022年の遠征についてのYoutube講演録(RSGB 2022 Convention presentation - 3B8 and 3B9 Contest DXpeditions - YouTube)から使用したアンテナ等に関する多くの情報が得られました。

まず、写真集からアンテナ群の配置を示す写真を見つけました。2020年の写真?かと思いますが、2023年もこの配置を踏襲していると推定します。文字が小さくて読み難いため、大文字フォントで復唱しました。

VDAは指向性アンテナであるため、20mバンドと15mバンドについてはEU/NA方面向けとJA方面向けに個別のVDAアンテナが設営されています。

NAの日の出とEUの日没はMauritiusの日没と同じグレーライン上に並ぶようです。2021年のビーム方向別のQSO数データがYoutubeで紹介されています。

圧倒的にEU/NA方面が多く、90度方向違いのJA方面のQSOが少し混じっていたという感じです。JAとのQSOポイントのためにJA専用のVDAを上げている訳ではなく、アジアのマルチを得るために上げたVDAの恩恵をJAは得ることが出来るというのが真相のようです。

Team 3B8Mは事前にアンテナのシミュレーションを十全に行い、アンテナの選択と配置を導き出しているようです。Youtube講演の中で2セットのVDAのスタック方法の違いによる指向性の説明がありました。

単体のVDAは垂直ダイポールに対して+3dB強の利得があるとのこと(緑線)。

これに対して、2セットのVDAをBIP(Both in Phase)でスタックすると、波面が合成されるためか、さらに+3dBの利得が得られるとのこと(青線)。EU/NA方面は、単体のVDAもしくはBIPスタックで運用していたのではないでしょうか・・・。EU/NAと交信中の3B8MのVDAアンテナのサイドに信号を送り込むことは、10Wでは不可能と思われます。

一方、2セットのVDAをBOP(Both out of Phase)でスタックすると、少し利得を増した2方向への指向性が得られるようです(紫線)。カリブ海と東アジアのマルチを得るための両睨みの運用時にBOPスタックを使うとのこと。JAから10Wで交信する機会があるのは、3B8Mが単体のJA方面向けVDAもしくはBOPスタックを運用している時と思われます。

10mバンドについては、EU/NA方面向けと思われるVDAアンテナ1本と、無指向性の垂直ダイポールしかありません。JAからは無指向性の垂直ダイポールが頼りですが、20mバンドおよび15mバンドよりも交信が難しいことが予想されます。利得ダウンの他に全方面からのパイルを切り抜ける必要が生じます。実際、今回のコンテストでは10mバンドのワッチも十分に行いましたが、結果として3B8Mとは20mバンドおよび15mバンドでのみ交信できた実績が物語っています。

3B8Mは以上の技術と戦術を組み合わせてくることが分かりました。昨年のCQWW-DX CWコンテストでの3B8Mとの交信は偶然でしたが、今年はこちらも戦術を練って再会を期したいと思います。

長くなりましたので、昨年のCQWW-DX CWコンテストの分析は次回記したいと思います。

 

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(10)

2023年11月は先月以上にコンディションが良かった感があります。室内LWアンテナ×10Wでも、先月に引き続きDXpedition局との交信の機会がありました。また、月末のCQWW-DX CWコンテストに合わせて遠征した局との交信の機会もありました。

来年2024年はさらにコンディションが上昇することを期待して、2023年11月実績の覚え書きを残したいと思います。なお、CQWW-DX CWコンテストの結果は別途分析したいと思います。

2023年11月のアジア・オセアニア方面

4W8X(TIMOR-LESTE)

前回、東ティモール民主共和国に遠征したDXpedition局4W8Xと20mで交信できたことを書き残しました。EUのThe Lagunaria DX Groupの独国メンバを中心にした総勢20名の遠征隊がCWモードでもアクティブに運用してくれたおかげで、11月後半の本格運用を通して、室内LWアンテナ×10Wによるバンドスロットハントの新記録を樹立することができました。

HF High-Band(10m-20m)のCW 5スロットを全てハントすると共に、HF Low-Bandも30mと40mのバンドスロットで交信することができました。室内LWアンテナ×10WによるHF Low-BandのDX交信は初めてのことです。

8m長の室内LWアンテナの守備範囲は6m-80mバンドです。短縮率が高くなりラジアル(5m×5本)の電流帰還性能も不足する80mバンドに対しては、国内近距離の交信が精一杯の性能です。一方、6mバンドはXU(Cambodia)と10月に交信できた実績があり、期待がありました。しかし、休日を中心にLive StreamのQRV情報をチェックしましたが、CWによる6m QRVは確認できませんでした。残念ながらパスがオープンしなかったものと思います。FT8の運用はあったようです。

12月2日時点でまだ3名のOP(撤収係?)が残りFT8の運用を続けているようですが、総交信数は141,264回、ユニーク交信数は32,172局に達しているようです。このレコードはClub Log: Expeditionsでトップになっています。ご苦労様でした。帰路ご安全に。

H44WA(Solomon Islands)

米国Western Washington DX Clubの7名の方々から成るDXpedition局H44WAが、11月後半にソロモン諸島ガダルカナル島)からアクティブにQRVしてくれました。HF High-Band(10m-20m)のCW 5スロットは全てハントできました。

米国チームのH44WAは規律を重んじており、B4(重複コール)局に対して効率重視の重複スルー交信をすることなく、長打鍵を費やして「ログをチェックせよ」と注意しているのが印象的でした。

Club LogのLog Searchで"in the log"の確認はできましたが、QSLコンファームはQSLマネージャM0URXのOQRSページから行うように指示がありました。しかし、応答タイムエラーでインターネット接続ができません。ブラウザを替えてもOSを替えても同じエラーがでます。先方のOQRSサーバがリクエスト集中でダウンしているのかとGoogle先生にお伺いを立てましたが稼働中との返答。問題はこちら側のネットワークに内包されていることが切り分けられましたが、ルータのセキュリティ関係だと処置なしです。そこで、携帯の4G経由のネットワークに切り換えたところ接続できました。OQRS自動返信メールも迷惑メールに分類され、システムの挙動が現在のセキュリティ基準に合致しないのかもしれません。QSLマネージャM0OXOも同じOQRSシステムを使用しているらしく、同じ症状がでます。Club LogのOQRSは問題ありません。

XW4DX(Laos)

2023年10月までにインドシナ半島ベトナムカンボジアとは交信できていましたが、2023年11月にラオスと初めて交信できました。東ティモール等の島嶼部東南アジアよりインドシナ半島の国々との交信の方が難しいのは海面反射だけでは届かないためでしょうか・・・。

交信できたのは、仏国メンバ5名のチームによるDXpedition局XW4DXがQRVしてくれたおかげです。米国東海岸とのパスを重視した運用とのことでしたが、12mと15mの2つのスロットで交信できました。

2023年11月の北米・南米方面

南米とは夏のIARU HF Contestにて数局と交信し、PY(Brazil)1局のコンファームができていただけです。しかし、2023年11月のCQWW-DX CWコンテストではPYだけでも7局と交信でき、コンディションの著しい向上が感じられました。コンディションに加えて、CQWW-DX CWコンテスト参加に備えてDX局の事前運用のアクティビティが向上していた点も寄与していると思います。今回はコンテスト前にカリブ海周辺の北米・南米の局と交信した実績について覚え書きを残します。

下記地図に2023年10月下旬から11月に交信できたカリブ海周辺の局を記します。上から、N2IC(US, NM)、XE2X(Mexico)、V31XX(Belize)、TI/KL9A(Costa Rica)、FY5KE(French Guiana)となり、カリブ海(Zone 8)を取り囲む局と交信できました。

V31XX(Belize)とは夏の17mバンドの交信に続いて、秋は12mバンドと10mバンドでも交信できました。秋は気温の低下によって大気(O2)の密度が濃くなり、電離層の密度が高くなってHF High-Band側でのDX交信の機会が増える・・・という理屈通りの体験となりました。

V31XXのQSLはDirect Onlyです。シャックが売りに出されているという情報もあり、夏の交信後にSASEを送り、10月5日にQSLカードを受け取っていました。手書きカードの裏面には記入欄が3つあり、秋の分も記入できたことを考えると、SASEを急ぎ過ぎたかもしれません。

地図に戻ると、最東方のFY5KE(French Guiana)に至っては大圏地図上ではカリブ海を飛び越しています。カリブ海の局と交信するのも時間の問題と期待していたところ、その日は突然到来し、CQWW-DX CWコンテスト直前にZF2MJ(Cayman Islands)と交信できました。ケイマン諸島は3つのサンゴ礁の島から成りますが、Grid Square/EK99IGを参照すると、首都のあるグランドケイマン島からのQRVだったようです。

QRZ.comに、ZF2MJのHome callはN6MJと記載されていました。コンテストに合わせてケイマン諸島に遠征し、コンテストに向けた試験送波の際に交信できたのかもしれません。なお、コンテスト中は見つけることができませんでした。

移動先のプリフィックスにHome callを付けてQRVしていたTI/KL9A(Costa Rica)もコンテスト前に交信できました。ZF2MJと同様にコンテストに合わせてアラスカからコスタリカに移動していたものと推測しています。夏はアラスカ、冬は中米のスケールの大きな2拠点生活の可能性もあります。こちらもコンテスト中は見つけることができませんでした。

2023年11月のアフリカ方面

思い返せば、WAC獲得においてアフリカは最も交信の難しい大陸でした。2023年10月までに交信できていたアフリカの局は、春に交信した大西洋上のCT9ABV(Madeira Islands)の1局だけでした。ところが、2023年11月には反対側のインド洋上の2つの島国と交信することができ、一挙に3エンティティに増えました。室内LWアンテナ×10Wとしては、望外の喜びです。

コンテスト前の某日に聞こえてきたのはS79/G4IRNのCQです。聞いたことのないプリフィックスだったため、Hamlogに打ち込むと「Seychelles」と出てきました。このエンティティ名に見覚えはありますが、それでもどの大陸に属するかまでは把握できていませんでした。兎に角、新しいエンティティであり、CQ連呼中でパイルになっていないため、取り急ぎオンフレで呼んだところ直ぐに交信できました。順調過ぎたため、珍しいエンティティではなかったのかな・・・と交信の後にQRZ.comをゆっくり調べると、アフリカ大陸東側のインド洋上のセーシェル共和国のマエー島からのQRVであることが分かり、すんなりと交信できたことに驚きました。

「載っていないなあ・・・」とDXクラスターを眺めていたところ、交信から10分後にUpされ、それからパイルアップになって行きました。しかし、数分でコンディションが急変してパイルは消滅してしまいました。まさに一期一会の交信でした。室内LWアンテナ×10WではDXクラスターがほとんど役に立たないため、地道にチューニングノブを回してCQを探していたことが功を奏しました。

後で調べると、CQ誌2023年12月号のDX Newsにちゃんと遠征予定が載っていました。UKのメンバー4名からなるチームがCQWW-DX CWコンテストに参加するためにセーシェル共和国に遠征し、コンテスト前は各自のS79/homecallで運用していたようです。

G4IRN JohnさんのブログにCQWW-DX CWコンテスト遠征の報告が載っていました。

QRZ.comの地図でマークされているマエー島の中心部ではなく、北端マシャベの海沿いのコテージ(Les Rocher de Machabee - House by the sea)に宿泊して運用されていたようです。

遠征記の写真集もありました。

そこから、アンテナ群の写真を1枚引用させて頂きます。

コテージの庭に各バンドのアンテナが林立しています。交信できた15mバンドのVDA(Vertical Dipole Array)アンテナは木立の陰に入っている右端のアンテナではないかと推測しています。セーシェルのこのアンテナから出た打ち上げ角の低い15mの電波が遠く日本の室内LWアンテナに届き、逆に室内LWから出た打ち上げ角の高い15mの微弱電波セーシェルのVDAが拾い上げてくれたと想像すると、交信後の感激もひとしおです。

CQWW-DX CWコンテストではS79のコールサインを見つけることはできませんでしたが、同じアフリカ大陸東側のインド洋上の3B8M(Mauritius)と交信することができました。その覚え書きは次回、コンテストの分析と共に記したいと思います。One-day WACが達成できているかどうか精査が必要です。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(9)

秋のDXpedition局のハント評価

2023年10月に、オセアニア大洋州)の島々に対して幾つかのExpedition(遠征)が敢行されました。10月中旬開催のOCEANIA-DX-CWコンテストに参戦したところ、バンドスコープ上にパイルの山を発見し、遅れ馳せながらDXpeditionが行われていることに気付いたのが実情です。オセアニアであれば、なんとか室内LWアンテナ×10Wの射程圏内です。性能評価のためにパイルに参戦しました。

コンテストが開催された10月中旬のClub LogのDXpedition Logsを下記に示します。赤丸でマークした(1)W8S(Swains I.)、(2)E6AM(Niue)、(3)T2C(Tuvalu)の3つのDXpeditionsが今回の対象です。他は聞こえません・・・。

緑丸でマークした4W6RUは7月に交信できた東ティモールのDXpedition局です。総交信数は約79k、ユニーク局数は約26k局であったことが分かります。総交信数はバンド×モードのスロット数に依存するため、DXpedition局のハントを狙うユニーク局数約26k局をベンチマークの基数として、今回対象とするDXpeditionsの10月中旬時点の進捗度を推定しました。結果、以下の進捗度推定値が得られました。

  1. W8S 74%
  2. E6AM 32%
  3. T2C    51%

室内LWアンテナ×10WでDXpedition局と交信するには、天啓を得てパイルの隙間を見つけるしかありません。ここまで進捗していれば、隙間もあるだろうと判断しました。

結果、10月に交信できたオセアニアのDX局を下記地図に白抜き背景赤字もしくは赤字で記します。緑字は10月以前に交信できていたDX局です。室内LWアンテナ×10Wでも交信できる程度に、秋のDXシーズンに同緯度上のDXpedition局とのパスが開けたことが分かります。

(1)W8S(Swains I.)

Swains I.は「Is.」ではなく「I.」と表記されることから分かるように太平洋上の孤島です。海底地形図を参照すると、沈下する海底火山の頂きに出来たサンゴ礁の孤島であることが良く分かります。アメリカ領サモアに属し、「アメリカ領サモア立海洋保護区」という名称のPOTA公園の一翼でもあるようです。

個人所有の島で、上陸するにはその方の許可が必要なようです。

当局が参戦したのは終盤です。下記の2つのバンドスロット(10m、15m)で交信できました。

Club LogのGeo Propagation Mapの機能を参照すると、交信数をベースにした伝播実績を調べることができます。(国別の無線局数で正規化していないため、本当の伝播状況とは異なると思います。)

まず、10mで交信した22時UTC(07時JST)の伝播状況を下記に示します。棒チャートは日本時間AMの伝播が良好と示しています。早起きして交信した22時UTC(07時JST)の地図上の伝播状況を見ると、日本と北米への伝播が比較的良かったようです(無線局数が多いだけかも!?)。NA指定でないかどうかを意識しながら交信しました。

次に、15mで交信した04時UTC(13時JST)の伝播状況を下記に示します。棒チャートでは同じ22時UTC(07時JST)が突出していますが、24時間何時でも交信のチャンスがあることを示していました。交信した04時UTC(13時JST)の地図上の伝播状況を見ると、赤色に染まった日本への伝播が突出して良かったようです。

W8Sハントの時にはバンドスロットを埋めようとの意識は無く、微弱信号ミスコピーの保険と考えて念のために2つのバンドで交信しただけです。しかし、積極的にバンドスロットを埋めることにチャレンジした方が、室内LWアンテナ×10Wの性能評価に有益であると考え方を変え、次のE6AMからは意識してスロット星取に取り組みました。

(2)E6AM(Niue)

Niueも孤島ですが世界最大のサンゴ島の1つであり(Wikipedia)、同時に最も小さい国の1つとのことです。エンティティ名の法則は良く分かりませんが、国ということで島を表す「I.」は付きません。

日本は比較的最近の2015年に国家承認をしています。その過程で日本人のニウエ首相補佐官の方が活躍されたとのこと。絶海の孤島と思いきや、日本人シェフが寿司を握るレストランもあり、TV番組で紹介されたようです。

E6AMが聴こえる機会はあまり多くありませんでした。バンドスロットを埋めるべく意識したのですが、W8Sより1つ多い下記の3つのバンドスロット(10m、12m、15m)で終わりました。HF High-Band(10m-20m)の中のHigh側3バンドです。

10mで交信した21時UTC(06時JST)の伝播状況を下記に示します。前記W8Sの場合とほぼ同じ早朝の時間帯です。地図上の伝播状況を見ると、こちらも同様に日本と北米への伝播が良い時間帯に交信できたようです。

次に、12mで交信した00時UTC(09時JST)の伝播状況を下記に示します。コンディションが少し落ちてくる時間ですが、10mと同様に日本と北米への伝播が良かったようです。

最後に、15mで交信した03時UTC(12時JST)の伝播状況を下記に示します。15mも前記W8Sの場合とほぼ同じ時間帯に交信できましたが、地図上の伝播状況で赤色に染まった日本への伝播が突出して良かった点も同じです。ログを見返すと、E6AMと交信した曜日はW8Sの三日後でした。

(3)T2C(Tuvalu)

TuvaluについてGoogle検索をしようとして誤ってMicrosoft Beingで検索したところ、コパイロット(AI)が以下の要約を作成してくれました。

ツバルは、太平洋に位置する小さな島国です。約420マイルにわたって散らばった9つのサンゴ礁と島から成り立っています。人口は約12,000人です。ツバルは英連邦の一員であり、君主が国家元首である議会制民主主義国家です。公用語はツバル語と英語です。

続いて、チャットで「ツバルでのアマチュア無線について教えて」とお願いしたところ、以下の回答が帰って来ました。

ツバルでは、アマチュア無線が行われています。ただし、詳細については情報が限られています。DXpedition Tuvalu T2Cによると、2023年10月10日から30日まで、FunafutiでのDXペディションが計画されています。また、RRDBによると、ツバルにはアマチュア無線リピーターがあります。ツバルは、英連邦の一員であり、議会制民主主義国家であるため、アマチュア無線に関する法律や規制がある可能性があります。詳細については、ツバルの通信省に問い合わせることをお勧めします。

日本語に違和感はないものの、過去の計画を未来形で語るなど時制のコントロールまでは出来ていないようです。

閑話休題、Tuvaluは4つの島と5つの環礁(環状に形成される珊瑚礁)から構成される国です。T2C DXpeditionは、首都が置かれているFunafuti環礁で行われたようです。上記右の地図を見ると、Funafuti環礁は1つの島ではなく、礁湖の周りを取り囲む約30の細長い小島から構成されています。Tuvaluは海抜が低いため、海面上昇によって国の存在が脅かされているとのこと。

T2Cが聴こえる機会は多くありました。バンドスロットを埋めるべく意識したところ、下記の4つのバンドスロット(10m、12m、15m、17m)で交信できました。HF High-Band(10m-20m)の中の20mを除く4バンドです。20mと30mでは、パイルは見えてもT2Cご本尊が聴こえないか、あるいはT2CのCQが聴こえてもこちらの電波が届かないかで、粘りましたが交信には至りませんでした。これで、室内LWアンテナ×10Wのオセアニア方面へのDX能力が決着しました。

交信できたバンド(10m、12m、15m、17m)の伝播状況を下記に示します。W8SおよびE6AMで見てきたように、T2Cの場合も朝は日本と北米への伝播が良い時間帯であり、正午から14時にかけては特に日本との伝播が良い時間帯のようです。

その他のオセアニアDX交信

YJ0TT(Vanuatu)

YJ0TTもDXpedition局ですが、Club LogのExpeditionsページは準備されていませんでした。

複数のバンドで聴こえてはきましたが、唯一12mバンドで午前に交信できました。同じく12mバンドで交信したE6AMおよびT2Cと同じ時間帯です。

H44RH(Solomon Is.)

ガダルカナル島北部に位置するソロモン諸島の首都HoniaraからのQRVです。日本の方が運用されているようですが、詳しい情報は見つかりませんでした。

夕方の15mバンドで偶然にパイルになる前のCQをキャッチしたため、呼んだところ交信できました。室内LWアンテナ×10Wでも、パイルになっていなければ、オセアニアの局とは交信できる確率が高いことを再確認しました。

4W8X(TIMOR-LESTE)

このブログを書いている11月に、春と夏に続いてTIMOR-LESTEへの秋のDXpeditionが始まりました。春と同じチーム(The Lagunaria DX Group)が遠征しているようです。春の4W1Aはコロナで延期した遠征の再開を期した事前調査遠征という位置付けだったようです。まだ11/13までは設営を続けながらのpart-time operationのようです。

このようなDXpeditionの初動段階では一般的にパイルが大きくなり、室内LWアンテナ×10Wでの交信は困難ですが、正午頃に10mバンドで交信できました。10mバンドでT2Cと交信した同じ時間帯です。午後からはパイルが一段と大きくなったことから、上手く機会を捉えパイルが小さい時に交信できたようです。

Club Logでコンファームは翌日になりました。DXpeditionチームで複数の機材を用いて運用している場合、Club Logのタイムスタンプの更新は必ずしも全ての交信を網羅していないようです。YJ0TTの場合もそうでしたが、FT8等のLogでタイムスタンプが更新されて行き、CWのLogは後日アップということもあるようです。設営途中のpart-time operationということも影響しているかもしれません。

翌日、他のDXpedition局で交信不可だった20mに挑戦する機会が到来しました。午前中、信号は弱いのですが4W8XがCQを出していました。誰も呼んでいないことが確認できたため挑戦しました。最初のコールの応答は「?」、次は「JK1?」でプリフィックスまでコピーしてもらえました。ここで、他の強い局がコールしたためリセットです。また、「?」、「JK1?」、再度「JK1?」と続いて、最後に2連続でコールしてコピーしてもらえました。コールバックは空耳コピー(QSBの脳内置換?)気味になってしまったため確信は持てませんでしたが、午後にはClub Logでコンファームできました。室内LWアンテナ×10Wでも、20mバンドの微弱信号がオセアニアDX局に届いていることが確認できました。

日乗

巷では「トランジスタ技術の圧縮」のTV放映が話題になっていますが、個人的にはNHK総合で放映が始まったアニメ「地球外少年少女(The Orbital Children)」に注目しました。

懐かしい既視感があったため調べてみると予感は的中し、「電脳コイル」の磯光雄監督による2作目のオリジナルアニメ作品でした。磯光雄監督自身が原作と脚本を手掛けている他、絵コンテ、原画チェック、CG、撮影(コンポジット)など、ほとんど全ての工程を手掛けているとのこと(地球外少年少女 - Wikipedia)。既視感を感じた訳です。今後の放映が楽しみです。