非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

室内ロングワイヤーアンテナはSWR1.0の夢を見るか(12)

日乗

QSOパーティ

昨年2023年のQSOパーティは、都市ノイズの多い40mシングルバンドのCWモードで参加したため、20局に届きませんでした。(HF High Band全域に渡る薄いノイズの源は蛍光灯であることが判明しましたが、40mバンドの濃いノイズの源はまだ不明です。冬季の早朝は発生しなこと、およびノイズ帯域がバンド内を緩慢に移動することから、エレベータや機械式駐車場を疑っています。)

一方、今年は40m以上のHFオールバンド+6mバンドのCWモードで参加したため、初日に20局を達成できました。後は室内LWアンテナ評価の一環としてバンドスロットを埋めることに励みました。

結果、80mバンドを除いて室内LWアンテナがカバーする残りの8バンド全てで交信することができました。HFハイバンドのスロットを埋めることが出来たのは、POTA/SOTA移動局のおかげです。局数は30m(10MHz)バンドで伸ばすことができました。しかし、最近、30mバンドでも都市ノイズが観測されることが気になる点です。

QSLカード

電子QSL(LoTW、eQSL、hQSL)優先のポリシーとしていますが、電子QSL交換可能な局の比率は体感で半分弱ぐらいでしょうか・・・。紙QSLカードをちょうど年末に使い切ってしまったため、新しい図案で発注しました。国内用とSASE海外用の図案を分けました。国内用はQTHローカルの写真、海外用はステレオタイプですが日本を代表する国宝絵巻(今年の大河ドラマ関連)の図案としました。

先日、eQSLを交換したアルゼンチンの局から「e-qsl にある日本画のアートワークがとても気に入りました。」とのイイネコメントがメールで届きました。こういった感想が寄せられると嬉しいものです。それもあって、海外用の図案は日本のオリジナリティが感じられる国宝絵巻にしました。

ところで、アルゼンチンの局から届いたメールは日本語とアルファベットの文章が併記されていました。スペイン語の文章を翻訳ソフトで日本語に訳したのかと最初は思ったのですが、よく読むと仮名漢字日本語文章とローマ字日本語文章の併記でした。日本語の書き言葉(仮名漢字文章)を勉強する前に発声言葉(ローマ字文章)から勉強されているのかな?と推測しています。返信をローマ字で書くか、仮名漢字で書くか、悩んでいます。英語とそこから翻訳したスペイン語にすべきか・・・。

Pedition局のQSLカード着荷開始

正月が明けると、昨年秋に交信したPedition局のQSLカードが届き始めました。

T2C(Tuvalu)

2023/10/25にOQRリクエストを出し、2024/01/09に着荷しました。

表面には現地のモデルの方でしょうか・・・、加えて現地の風景や運用の様子を写したスナップ写真が配置されています。裏面にはメンバーの集合写真、スポンサー関連のロゴが配置され、交信証明書シールが貼付されています。

15mバンドが痛恨のDupeになっています。コールサインの聴き間違いに後から気付いたためです。ワッチが重要との教訓となりました。

YJ0TT(Vanuatu)

2023/11/03にOQRリクエストを出し、2024/01/09に着荷しました。二つ折りタイプのQSLカードでした。上部に写り込んだBegaliのパドルは折り目を抑える文鎮の代わりです。

表面はメンバーの集合写真、裏面はSpiderbeamアンテナの写真です。見開きの左は各メンバーの運用風景の写真、寄付をした方への謝辞、スポンサーのロゴが配置されています。右には交信証明書シールが貼付され、チームの紹介が記されています。メンバー毎にコールサインが異なるように見えますが、YJ0TTチームとなっているため、最終的に1つのコールサインで運用したのではないかと推測しています。

3B8M(Mauritius)

前回報告した3B8M(Mauritius)のQSLカードです。2023/12/02にOQRリクエストを出し、2024/01/10に着荷しました。既にLoTWにてコンファームできていたのですが、室内LWアンテナ×10Wにとってアフリカは最難関の大陸となるため、記念にQSLカードが欲しくなった次第です。

表面は前回報告したMauritiusを代表する?特徴のある岩山の写真と20mおよび10mのアンテナの写真です。コンテスト名に付記された西暦は2021でした。初回の遠征時に刷ったQSLカードが余っているようです。OQRSの有無に係わらずコンテスト後即座にLoTWにアップしてくれるため、QSLカードのニーズが少なかったのかもしれません。

裏面は(2021年の)メンバー集合写真、設備の紹介、交信証明シールの貼付です。交信証明の日付は間違いなく2023年となっており問題ありません。

WAG UBNレポート

昨年10月下旬に開催されたWAG(Worked All Germany)コンテストのUBNレポートが届きました。WAGはドイツ対DXのコンテストです。

UBNレポートは提出ログの全数照合によって、Uniques(他のログに出現しない特異なコールサイン)、 Bad calls(コールサインもしくはコンテストナンバーの受信間違い)、 NILs(相手ログからの欠落)等を調べて、減点等の理由をレポートしてくれるものです。コンテスト中に正しく交信できていたか、正しくないとしたら何を間違えていたのかを振り返ることのできる貴重な情報源です。

例えば、1局としか交信できなかったためにログを提出しないと、自身がUniquesになってしまい、交信相手局にUniquesとして通告される可能性があるかもしれません。交信数に係わらずログの提出が求められる所以です。ただし、WAGではUniquesのリストアップに留め、Uniquesを減点の対象にはしていないようです。

EUとはパスが開けても、経験上、狙った特定の国(今回はドイツ)とのパスが開けるとは限りません。今回もドイツ各局からは室内LWに弱い信号しか入らず、コンテスト局を中心に5局と交信するのが精一杯でした。提出ログと最終スコアは下記の通りです。

提出ログ5交信に対して最終スコアも5交信を確保し、幸いなことにUBNはありませんでした。NILsも無かったため、お相手頂いた5局のポイントにも貢献できたかと思います(NILsではなく相手局ログのBad callsになっている可能性もありますが・・・)。EUからのQSBやエコーを伴うコピーバックは何時も空耳コピー気味になり、確信を持てずに終わることが多いのですが、室内LW×10Wの微弱信号を正しくコピーしてくれたことに感謝です。

Single operator, CW, low power部門の順位は336/339位でした。ドイツ周辺のEUの局とは競争になりませんので、参加することに意義ありの結果となりました。

CQWW-DX CW 2023コンテストの分析

漸く分析に着手しました。

Raw Score

ロガーで計算したスコアは36,340点でしたが、提出後のRawスコア(ログ相互照合前のスコア)は37,293点に増えていました。Dupeが2件あった(反省)ことが影響しているようです。ロガーはDupeを点数から差し引きますが、RawスコアはDupeのチェックもまだ未適用のようです。


全体の暫定順位は801/1441位で、上から56%の位置に付けていますが、Dupe減点でもう少し下がりそうです。AS大陸内の暫定順位は128/277位で、46%の位置に付けています。Dupe減点の影響は無さそうです。JA国内の暫定順位は91/195位で、47%の位置に付けています。こちらもDupe減点の影響は無さそうです。室内LWアンテナ×10Wの運用に対して、思いのほか良い暫定順位に付けることが出来たように思います。

コンテスト中のコンディションが良すぎた?ためかQRMが激しかったため、このRawスコアからUBN等の減点が差し引かれるものと思います。採点レポートを楽しみに待つことにします。

Multi

バンド(14MHz、21MHz、28MHz)別のDXCCマルチとZoneマルチを下記に示します。

14MHzバンドのマルチは全て他のバンドでも交信できています。21MHzバンドで獲得できたマルチが最も多くなりました。ただし、28MHzバンドのみで交信できたZoneマルチが4つ(6、13、16、18)ありました。Zone 6は北米の南部(XE:Mexico)、Zone 13は南米の南東部(CX:Uruguay)、Zone 16は東欧(UA)、Zone 18は中部シベリア(UA9 (H, O, U, Y, Z))です。

交信できたZoneを下記Mapにマーク(〇)します。赤のマークは28MHzバンドのみで交信できた上記の4つのZoneです。

やはり、普段交信できていないZoneを落としています。中央アジア、中東、アフリカ、南米西海岸といったところが室内LWアンテナ×10Wでは交信が難しいZoneです。中東以外は聞こえたことはあるため、2024年の課題です。

One-day WAC

One-day WACアワードの発行者は、本家のIARUではなく、JARL関西地方本部です。One-dayの定義は「0000~2400JST」となっています。ただし、「DX局はUTCでも可」となっていて、DX局はOne-dayのUTC定義を選択できるようです。クラッシックモードでOne-day WAC達成の機会が多いのはDXコンテントであるとすると、JA局もOne-dayのUTC定義を選択できるようになっていると良いのですが・・・、今回はUTC/JSTどちらのOne-day定義が吉と出たか検証します。

QSOレートグラフを下記に示します。朝方に交信数が伸びていることが分かります。UTCのOne-day定義は朝方の山を分断するのに対して、JSTのOne-day定義は山を孤立させます。両者の違いを分析しました。

陸別QSO数を時間別に集計した表を下記に示します。上部にUTC/JSTのOne-day定義を示しました。

室内LWアンテナ×10Wの宿命として、QSO数が少ない大陸は、一位がアフリカAF(2回)、二位が南米SA(7回)、三位が欧州EU(10回)でした。この3大陸がOne-day WACの達成成否を決めます。

唯一のAFは上記にQSLカードを紹介した3B8Mとの2バンドのQSOで、既にコンファームできています。二日に分割されるUTCのOne-day定義では2つのQSOが一日目と二日目に分散され、両日共にOne-day WAC達成の可能性が出てきます。一方、三日に分割されるJSTのOne-day定義では2つのQSOが二日目に集中し、この日しかOne-day WAC達成の目がありません。

UTC一日目のSAおよびEUQSO数は十分足りており、コンファームもできています。One-dayのUTC定義を選択できれば、祝One-day WAC達成です。

UTC二日目のSAおよびEUQSO数はそれぞれ1回だけです。SAはPV2(Brazil)とのQSOがコンファームできています。EUはOM7(Slovak Rep.)とのQSOのコンファームにSASE送付が必要で、未完です。OM7がコンファームできれば、二日連続の祝One-day WAC達成です。

JST二日目のSAのQSO数は十分足りており、コンファームもできています。EUQSO数は2回で、その中の1回は上記OM7(Slovak Rep.)です。残る1回はRL3(European Russia)とのQSOで、こちらもコンファームにSASE送付が必要で、未完です。

当初予想した通り、今回のDXコンテストでのOne-day WAC達成には、JSTよりもUTCのOne-day定義の方が有利であるとの分析結果になりました。JSTのOne-day定義によるOne-day WAC成就のために、既にDXエンティティとしてはコンファームできているOM7(Slovak Rep.)もしくはRL3(European Russia)にSASEを送付するかどうか逡巡しています。