非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

Teensy (1)着荷

Home-brew SDR 検討用に発注した Teensy® 4.1 Development Board 他オプションパーツ一式が着荷しました。

発注先の選択肢は、PJRC社(開発元)、米国の正式代理店、日本のパーツショップ等がありますが、今回は小物のオプションパーツも合わせて注文するため、PJRC社に発注しました。

開発元に発注するメリットはオプションの品揃えがあることに加えて、価格が安い点をあげられますが、送料が落とし穴になります。追跡サービスのない Air Mail の送料は $22.33 でしたが、追跡・迅速通関・保証等のサービスが付く海外配送大手の Expedited Shipping では $90 を超えます。本体より高くなってしまいます。注文ページに「 $200 を超えたら Expedited Shipping を推奨する」とありましたが、超えていないので迷わず Air Mail を選択しました。QCX 購入の時も一番安い配送方法を選択して、特に(たまたま?)問題はなかったので。しかし、こればかりは個人責任になり、行方不明になったら泣き寝入りです。

今回も問題なく着荷しました。「 COVID-19 で Air Mail は著しく遅延している。航空便で1~2週間、通関で遅れると4週間」と発送通知メールに書いてあり、少し後悔しましたが、実績は注文日 8/23 に対して着荷日は 9/2 でリードタイムは 11日、2週間は要しませんでした。米国および日本の郵政は優秀で、税関も電子部品個人輸入の通関を効率的に処理してくれたようです。

Air Mail に追跡サービスは付いてないけど、国によっては追跡サービスの提供がある」と発送通知メールに書いてありました。Air Mail は日本に着くと「国際eパケットライト」という商品になり、追跡バーコードの付いたシールを箱の裏に貼られるようです。

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Air Mail 外観

PJRC社が発行した税関申告書の通知番号を、日本郵政の追跡サービスページ(下記)に入力したら追跡できました。

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発注・発送のメール送受信時刻と追跡結果

USA の追跡ポイントは現地西海岸の時間ですので、時差分の16時間を進めて日本時間に変換して考える必要があります。オレゴン州ポートランドの PJRC社から、 USPS(United States Postal Service)のロサンゼルス Sorting center である USLAXA に「引受」になるまでに随分と時間がかかっています。米国内貨物便の飛行機で輸送されている時間と思われます。そこまでは追跡できないということですね。このあたりの時間が配送大手でどう変わるか比較したいものです。通関処理時間はちょうど1日なので変わらないと思います。

下記が開封した様子です。きれいに梱包されていました。Teensy Board はネームの付いた専用の静電防止袋に入っていました。"Assembled in USA"が誇らしげです。

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開封

蛇足ですが、Teensy 4.1 の MCU はオランダの NXP 社製ですが、i.MX シリーズ MCU は元々は米国 Freescale Semiconductor 社の製品でした。半導体メーカは栄枯盛衰が激しいのですが、Freescale Semiconductor 社の前身は Motorola 社の半導体部門です。 懐かしい MC6800 のメーカですね。

RT(Real Time?)が付く i.MX RT series はメモリ階層に特徴があります。
https://www.nxp.com/docs/en/application-note/AN12437.pdf
Flash を捨てて高速大容量の SRAM を集積しています。Teensy 4.1 の MCU は2種類の SRAM を計 1 Mbyte 集積します。プログラムを永続的に格納する FlashMCU の外に 8 Mbyte を搭載します。Teensy 4.1 Board で組込 MCU システムとして完結します。

MCU コアは 600MHz、バスは 132MHz で動きます。大容量 SRAM の半分の 512Kbyte は、超高速の 64bit 幅 600MHz でアクセス可能です。他の半分は DMA によるコア外部とのアクセスのため、バスと同じ 64bit 幅 132MHz でアクセス可能です。シリアル Flash は 4bit 幅 133MHz 動作です。

大容量超高速の SRAM の使いこなしがポイントですが、コンパイラが自動的に優先割付を管理してくれそうなので、アロケーション指定で悩む必要はなさそうです。DSP extension instructions と超高速の SRAM の組み合わせで DSP 演算機能は整うため、SDR の大規模な畳み込み演算を無配慮で実装しても、キャッシュの偶発的ヒットミスによるサンプリングタイムのオーバには悩まなくて済みそうです。

他に、Teensy 4.1 は MKL02 という Cortex-M0+ のチップを搭載しています。このチップに bootloader のプログラムが格納され、セキュリティ管理されているようです。このチップの単体販売によって、Teensy 4.1 開発ボードを毎回使わなくても、ユーザが専用に起こしたボードで Teensy システムを構築することが可能になります。逆に、流通を管理することで、模造品が出回ることを阻止しているようです。知財管理の上手い方法の1つと思います。