非職業的技師の覚え書き

JK1EJPの技術的検討事項を中心に記録を残します。

Teensy(3)SDR 関連の調査

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Teensy 4.1

Teensy攻略がご無沙汰になっていますが、肩に乗ることのできる巨人を探して、こつこつと調査を続けています。

T41 SDT(改めT41-EP)の調査

("T41 SDT"の名称は"T41-EP"(Experimenters' Platform)に変更されたようです。)

題名の T41 SDT とは、米国の 二人のOM によって推進されている Teensy 4.1 based Software Defined Transceiver プロジェクトの略称です。「公開予定」と開発者からアナウンスされているため、定期的に下記の groups.io の投稿を調査しています。

プロジェクトを推進されているのは、 W8TEE 局 Jack Purdum さんと AC8GY 局 Al Peter さんです。

Purdum 博士は、既に退官されて名誉教授?になられているようですが、Purdue 大学でプログラミングの先生をされていたようです。学位は"Cliometrics"(計量経済史=経済史+計量経済学)で取られたとのことですので、専攻は趣味の無線に直接の関係はないようです。計量経済史は馴染みがない学問分野ですが、計量経済学では数学や統計学を使うとのことですので、そこでプログラミングを駆使されていたのでしょうか。

Purdum さんは、1964年の東京オリンピックの10年前に開局された大ベテランです。今なおSDRのプログラミングで先頭の一角を走られていることは見習いたいものです。

寄稿調査

Purdum さんは HAM 雑誌に多くの寄稿をされています。最近の例では、オンラインで読める下記の米国CQ誌?のコラム記事が見つかりました。マイコンの組込みプログラムに造詣が深い方のようです。
MICROCONTROLLERS IN AMATEUR RADIO; Going from RDC to PGC”, CQ Amateur Radio,  VOL. 77, No. 6, pp. 77-79, June 2021
https://cq-amateur-radio.com/06-CQ%20June%202021-D.pdf

蛇足ですが、Purdum さんのコラム記事の前に QCX-mini の紹介記事がありました。
"KIT BUILDING; QRP Labs QCX Mini: A Field Radio in your Pocket!", CQ Amateur Radio,  VOL. 77, No. 6, pp. 70-73, June 2021 
鮮明な基板の写真が掲載されています。

書籍調査

Purdum さん執筆の書籍を検索すると、C言語のプログラミングに関する(英語)書籍が10冊以上見つかります。一部を紹介します。

  • (1) Microcontroller Projects for Amateur Radio (2020)

  • (2) Beginning C for Microcontrollers: Making Electronics Dance with Software (2020)

  • (3) Arduino Projects for Amateur Radio (2014)

最近は Arduino IDE 上でのマイコン組込みプログラムに関する書籍が多いようです。最新刊の(1)(2)では Teensy への言及もあるようです。

ARRL の(1)を読んでみたかったのですが eBook は無いようです。日本からも印刷版を ARRL に注文できるようですが、会員価格で購入できないこと、送料が高額になることからひとまず諦めました。

代わりに(2)の eBookKindle版)を購入しました。非職業的技師も SDR の軍資金を稼ぐための生業では必要に応じて PC 上のプログラミングに従事しています。今更 C の学習?とも思いましたが、T41 SDT プロジェクトが公開される前に組込 C の復習をしておくのも良いかと思いました。T41 SDT のコーディングのスタイルも書籍のスタイルと同じではないかと期待しています。

Keiths' Teensy SDR builders group

概要

groups.ioを検索してTeensy SDRの開発グループを見つけました。

一見さんお断りかと思いましたが、参加の希望を出して一日後に許可されました。毎日の投稿Summaryが届くuSDXのグループほど活発ではありませんが、貴重なTeensy SDRの情報源です。

入手容易なoff-the-shelf(既製品)のボードモジュールを組み合わせて、モジュラー方式のSDRを開発するコンセプトのようです。RF段のモジュールキットを組み立てながらAF段のSDRの機能をソフトウェアに実装していく方式は、フットプリントの面では不利かもしれませんが、学習には好適かもしれません。

送信部は構想まではありますが、まだ受信部までしか実装できていないようです。受信部に必要なoff-the-shelfのQSD(Quadrature Sampling Detector)Kitは市場にありますが、送信部に必要なQSE(Quadrature Sampling Exciter)Kitが容易には調達できないことがあい路になっているようです。

 

追伸:
本日(2021/11/06)、送信部が動作したとの投稿がありました。

Yes Virginia there is a transmitter in the works!

適切なKitが市場にないQSE部は専用のPCBを起こしたようです。年末年始にかけて詳細情報が公開されると思われます。T41-EPの情報も公開されそうな雰囲気になってきています。忙しくなってきました。

 

Teensy Audio Adaptor Board に関わる制限の有無

まだ過去の投稿を十分にフォローできていませんが、Teensy Audio Adaptor Boardについての心配事に関する情報が得られました。

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一つ目は、I/Q信号のサンプリングレートに関する制限の有無です。TeensyからAudio Adaptor Boardに44.1kHzのクロックが供給されるため、CD qualityの44.1kHzでしかサンプリングできないかもしれないという心配がありました。このグループでは4倍のサンプリングレートを適用しているという情報が見えました。

二つ目は、Teensy Audio Libraryが16 bit整数しかサポートしていないというあい路です。FPUおよびDSP extension instructionsを搭載したMCUと超高速 SRAM の組み合わせによって DSP 演算機能が整っているのに、ライブラリを使用すると整数演算になってしまうのは残念です。このグループでは32bit浮動小数点互換ライブラリOpenAudio Library for Teensyを使用しているという情報が見えました。

当面の心配事は二つとも解決です。