VOX回路の組立
VOX回路(音声入力を認識すると自動で送信状態に切り替える回路)を組み立てました。
送受信回路の電源ライン系統とアンテナRF信号系統の2系統を切り替えるリレーの存在感が大きいです。また、AF信号を扱う回路のため、10uFの電解コンデンサも4個備えます。ということで、結構大きなフットプリントとなっています。
AUDIO_IN/OUT信号ジャックや二色LEDのケースへの嵌合が気になりますが、組立公差には余裕がありそうです。
VOX回路の測定
PCのAUDIO_TXテスト信号生成ソフト
PCのヘッドフォンジャックからAUDIO_TXテスト信号を出力するソフトウェアとして、フリーウェアのWaveGeneのお世話になりました。
修正(2022/2/3):
リンクを張っていたのですが、切れてしまったようですのでリンクを削除しました。
高機能なオーディオ信号波形発生ソフトウェアをシンプルなGUIにまとめているため、HELPの参照は必須です。ただし、Windowsのセキュリティの関係から、「コンパイルされた HTML ヘルプ ファイル (.CHM)」はディフォルトでは白紙表示されるようです。セキュリティを確認した後に、CHMファイルの右クリックでプロパティを開いて「承認」にチェックを入れると表示されるようです。セキュリティについては各自の責任により確認する必要があります。
WaveGeneは機能満載ですが、今回は正弦波の周波数と振幅を変更してVOX動作のテストができれば十分です。振幅は16bitの最大値32767を0dBとして、dB値、整数値、%値で指定できます。
PCのヘッドフォンジャックの電圧レベル
AUDIOレベルの確認を行いました。下図の測定系を用いて、AUDIO_IN信号を受けるR43(47Ω)の両端のAUDIO_TX電圧を確認しました。
- 周波数1kHz、振幅0dB(最大)を設定すると、1.2V弱の振幅電圧が測定されました。事前調査で0.5Vを予想していましたが、それより大きくなりました。PCによって振幅は異なる可能性があります。サウンドカードを変更した場合は再確認が必要になりそうです。
- 振幅-38dB(1.27%)設定で振幅電圧は147mVが測定され、RelayはONしました。振幅-39dB(1.12%)設定に下げると振幅電圧は130mVに下がり、RelayはONできなくなりました。RelayがON可能な振幅電圧レベルのダイナミックレンジは広いため、問題になる場面は少ないでしょう。
LTspiceシミュレーションでは、200mVでON可能、100mVでON不可能という予測結果を得ていました。今回の測定結果と整合します。
VOXによる送信状態への切り替え速度
上記の測定系を2CHにして、DC_TX電源ラインの電圧測定を追加し、VOXによる送信切り替え速度と過渡応答を測定しました。オシロスコープのトリガーはAUDIO_TX信号の電圧レベル-10mVに設定しました。AUDIO_TX信号はマイナスの位相から始まりますが、-10mVに到達するまでの時間が誤差になります。
- PCからのAUDIO_TX電圧のパラメータ(周波数、振幅)に対するVOX回路の感度は高くありませんでした。ただし、低周波数200Hz&低振幅-34dBの条件では応答時間が著しく遅れ、83msを要しました。
- LTspiceシミュレーションによる応答時間の予測は5~22msでした。実測結果は、83msの例外を除いて、予測範囲に入っていました。
- AUDIO_TX電圧の振幅値は、周波数が高いと約1.2Vよりも小さくなりました。これは過渡状態の間の現象で、時間が経過して定常状態になると約1.2Vに漸近しました。どこかの容量への充電が関係していると思われます。
- 予想に反して、何れの条件でもリレーのチャタリングが発生しました。リレーコイルのスナバ回路がダイオードスナバであることが原因と考えています。RCDスナバにしてダンピングを調整するとチャタリングを防止できるかもしれませんが、素子が二つ増えてしまいます。
- 何れの場合も、DC_TX電源電圧が立ち上がる前にマイナスのドロップが発生しました。DC_RX電源電圧の立下りによって引き起こされる過渡応答でしょうか?
LTspiceシミュレーションで予め予測できたことと、実測で判明したことの両方があることが分かりました。