40m QCX+のLPF改良
40m QCX+の元祖LPFに第二高調波トラップ機能を付加するために、2個の39pFコンデンサ(ムラタ、GRM21A5C2E390JW01D)を基板裏面に並列に取り付けました。工作後の様子を次の写真に示します。
LPF部の基板裏面には十分なスペースがあります。元祖LPFの中央のコイルの両側に付く2つのコンデンサのリードを、予め改造を見越して切らないで残しておきました。そのリードの間に39pFチップコンデンサ2個(合計78pF)をハンダ付けしました。チップコンデンサが思ったより小さく、リードの長さが少し足りなかったため、イモハンダでブリッジする美しくない仕上がりになってしまいました。また、絶縁テープを敷くことを失念しました。とりあえず、レジストの耐圧を信じることにします。
写真中央の基板裏面のLPF部下方左にある終段FET固定用ネジの頭の高さを、チップコンデンサの高さが超えることはありません。よって、標準アルミ押し出しケースの溝に基板を挿入しても、改造部がケースに接触することはありません。よりスペースの厳しい20m QCX-minも同様の改造で対応できるだろうと期待させます。
スプリアス測定
電力測定結果
まず、アッチネータキット(Pacific Antenna)に接続したダミーロードキット(QRP Labs)の尖頭電圧から送信出力を調べて、アッチネータの減衰率を設定しました。
送信出力は6.72W@13.8V電源でした。3.9Wから1.7倍の6.7Wまで2.4dB増加しています。約3.0~3.6dBのリップルが生じるシミュレーション結果が得られていたため、元祖LPFにもリップルが多少あることを考えれば当たらずといえども遠からずと言ったところでしょうか。しかし、これではQRPの看板が出せません。40m QCX+ LPF改良バージョンでQRP運用を行うためには、4.85W@12V電源とする必要があるようです。
アッチネータの減衰率は40dBに設定しました。これにより、アッチネータの出力を計算上0.50mW(-3.0dBm)に制限しました。
スプリアス測定結果
次に、ダミーロードをスペクトラムアナライザ(tinySA)に付け替え、スプリアスを測定しました。第二高調波は-67.4dBc(= -70.12dBm + 2.688dBm)となり、スプリアス規格を余裕を持って満たせたようです。しばらく実験をしてから終段FETに触ってみましたが、特に発熱はしていませんでした。送信出力が効率的に出ているようなので、この改造がE級増幅の高効率スイッチングに影響を与えることはなったようです。
シミュレーション結果によれば、フィルタの抑圧能力は-65~-83dBc程度になる予定でした。また、元祖LPFの測定とシミュレーション結果から、基本波に対する第二高調波の強度は-10dBc程度と見積もっていました。よって、フィルタ後の第二高調波の強度は理想的には-75~-93dBc程度になる予定でした。tinySAの測定限界に近づき、誤差の範囲のような気もしますが、やはりLPF部を切り離してVNAで減衰特性を調べたいところです。