2023年2月より、室内LWアンテナx10Wの性能確認のための交信を週末に実施しています。国内CW交信の約5か月間の実績をまとめます。DXの実績は次回まとめます。
WAJA到達度
WAJA(Worked All Japan prefectures Award)アワードの到達度を下記の日本地図に示します。今回も「オリジナルの日本地図が作成できるジェネレイター」を利用させて頂きました。緑がConfirmed(QSL入手済み)、青がWorked(交信済み)、赤が未交信の都道府県です。入手済みのQSLは全て電子QSL(hQSL、eQSL、LoTW)です。
難しいと感じていた富山県がConfirmedでき、WAJA完成か?と思ってリストアップしてみると、香川県が未交信でした。秋田県、三重県、京都府とのQSO数も少なく、Confirmedが遅れています。
香川県とのQSOは7月開催のオールJA5コンテストに期待します。秋田県はオール秋田コンテストが9月開催予定と思いますので、年内のConfirmedに期待が残ります。しかし、京都府は京都コンテストが来年2月開催予定、三重県はオール三重33コンテストが来年5月開催予定と近々にはコンテストの開催は無いようです。移動局の出現とEスポの発生を願ってワッチを続けます。
WAJAの他、JCC/JCG/AJAの集計のためにも、国内アワード到達度集計ソフトを作る必要がありそうです。
POTA達成度
POTAハントには苦戦しています。POTA AWARDは、まだ、Bronze Hunter(10公園ハント)です。次のSilver Hunter(20公園ハント)には2公園足りていません。
室内LW+ATUによって、バンドは40mから6mまでフル活用しています。POTAのスポット情報を見て聞きに行っても聞こえないことが多いため、バンド間をQSYしながらワッチして運よくアクティベーション局が見つかったらハントするという効率の悪いスタイルです。
県別の内訳を下記に示します。144公園を擁する大票田?の東京に対して僅かに1/144公園しかハント出来ていないことが響いているように思います。
東京は都立公園が多くあるのに対して、QTHの神奈川県は政令指定都市の市立公園(横浜市立、川崎市立、相模原市立)が多く、県立公園が少ないためにPOTAの対象が34公園に留まっていることが響いているのではないかと勘繰っています。純粋に室内LWアンテナx10Wの地力が小さいことが理由かもしれませんが・・・。
以前、JARL中央局との40mバンドの交信で苦労した話を書きましたが、都内方面に向けては近隣の建物が直接伝搬波の障壁になっているのではないかと推測しています。障壁を飛び越えるために、これからのEスポ発生に期待したいところです。
例えば、下図は台風とそれに連なる前線が日本列島を通過した6月3日の天気図です。天気図との関係は不明ですが、この日、日が射した関東上空には強力なEスポが発生し、6mバンドで西日本や中国の局と交信することができました。POTAも埼玉県の1公園を40mバンドでハント出来ました。この日は近隣建物の障壁を飛び越えることができたと思います。
翌日、「電波の日」特別運用を休日に繰り越したJARL中央局と15mバンドで交信できました。交信に苦労した前回の40mバンドと異なり、S9+10dBで強力に入感し容易に交信することができました。イオノグラフの確認を忘れましたが、その日もEスポが発生していたのではないかと推測しています。
記念局との交信
室内LWアンテナx10Wの性能確認とは直接の関係はありませんが、記念局との交信も楽しみの1つです。
記念局の定義
総務省のホームページによると、記念局とは以下の定義になるようです。
いわゆる記念局※は、行事等にふさわしい特別な呼出符号(コールサイン)が指定されたアマチュア局を運用することにより、行事等を記念すること及びその意義を広めることができるものであって、かつ、アマチュア無線に対する理解の増進、アマチュア無線の健全な普及、発展等に寄与できる相当の公共性を有するものです。
※行事等の開催に伴い臨時かつ一時の目的のために運用するアマチュア局(https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/confirmation/memorial/)
記念局との交信はコールサイン以外の情報は得られない599BK方式で終了し、その「行事等」の情報を記した紙QSLカードが届くのはかなり先(1年先?)になってしまいます。そこで、交信した後にその対象になった「行事等」の情報をWeb等で調べることが記念局交信の楽しみ方になります。
室内LWアンテナx10Wで交信できた記念局の例を幾つかピックアップします。
8N1789FM
湘南ビーチFM開局30周年記念局です。サフィックスの「789FM」は、逗子・葉山コミュニティFMラジオ「湘南ビーチFM(JOZZ3AB-FM)」の周波数789MHzを表しています。このブログ記事は、湘南ビーチFMのインターネットラジオを聞きながら書いています。
記念アワードの発行もあり、サフィックスの構成要素から、7 賞(3 バンド)、8 賞(3 モード)、9 賞(3 運用ポイント)、FM 賞(三浦半島 30 局)の3つの賞があります。現在、HFのCWにしか出ていない当局が狙えるのは7賞もしくは9賞になります。東京方面と異なり三浦半島方面に建物障壁はないため、6月に9 賞(横須賀市、逗子市、三浦市)を「10MHz、CW」特記にて達成することができました。7 賞(3 バンド:7MHz、10MHz、14/18/21/24/28/50MHz?)も射程内です。
記念アワード発行履歴は公開されています。やはり、9 賞(3 運用ポイント)の獲得者が最多のようです。当局は28番目、「10MHz、CW」特記では2人目でした。
記念アワード獲得を機会に、湘南ビーチFMの開業時の出力が0.25W(現在は20Wに増力)であったことを知りました。放送局と言えばkW出力と思っていただけに驚きです。20Wでも湘南海岸全域をカバーできるということですね。
逆に、アマチュア無線は優遇されているということかもしれません。室内LWアンテナx10Wでもアフリカまで届く(次回報告)のですから、上(kW局)ばかり見ないで電波障害に気を付けながら性能確認を続けたいと思います。
8j7WICHI
何を記念した局なのか予想の付かないコールサインでした。記念局の由来を調べると、サフィックス「WICHI」は鳥潟右一博士の名前から取られていることを知りました。「無線の父・鳥潟右一没後100周年記念事業」の一環としての記念アマチュア無線局とのことでした。
博士の出身地である秋田県大館市の常設記念局ですが、主に運用されているのは武蔵野通研アマチュア無線クラブによると思われる移動局8j7WICHI/1です。秋田県との交信実績が少ない当局としては常設局とも是非交信したいところです。
「無線の父」という言葉で疑問が湧きました。『「タ」は夜明けの空を飛んだ/岩井 三四二 | 集英社 ― SHUEISHA ―』を読んで以来、無線の父は木村俊吉教授と思っていたからです。
記念事業の一環として記念講演会が大館郷土博物館主催で開催されるとの情報を得て、疑問を解消すべくオンライン枠に申し込みました。
講演会を聞いての感想として、無線電信の父が木村俊吉教授、無線電話の父が鳥潟右一博士と勝手に解釈しています。
鳥潟右一博士が開発を主導した「TYK式無線電話機」は、検波に用いるコヒーラーこそ天然鉱石に置き換えていますが、連続した火花放電を発信源に用いて音声信号で変調するという驚きの構成です。「TYK式無線電話機」は真空管(の先祖)の勃興によって短命に終わりましたが、その真空管の国産を主導したのも鳥潟右一博士です。火花放電から真空管への時代の変遷がつながる講演内容でした。
講演録画は後日公開されるとのことでした。